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超臨界二酸化炭素抽出法 [supercritical carbon dioxide extraction]

気体でも、液体でも、固体でもない超臨界流体となった二酸化炭素を溶剤として抽出する香気成分採取法.超臨界二酸化炭素とは、臨界点である温度31.1℃、圧力75.2 kg/cm2以上の状態にした二酸化炭素のことである.この方法では、温度や圧力のわずかな変化で密度を大きく変化させる超臨界流体の特徴を生かして、溶解力が上がる高密度の状態で抽出を行う.次に圧力を下げたり、温度を上げることにより低密度の状態にし、抽出物質を分離回収する.超臨界流体の密度は液体に近いが、粘度は気体に近いので分離に要する時間が短い.最大の長所は、低温で効率のよい抽出ができるので、香気的に優れたもの、たとえばとくにトップノートで天然のもつ微妙なニュアンスが再現できることである.また、香り全体が抽出されるので、ほかの抽出法に比べて、天然そのままを再現しているものが得られる.さらには、抽出条件を変えることで、同一素材から異なった香りのタイプの抽出物が得られる.現在、グレープフルーツ、ブラックペパー、バニラ、ワサビなどの食品香料を中心に応用が進められている.なお、短所は装置のコストが高いことである.(浅越亨)

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