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エアゾール容器 [aerosol container]

内部に噴射したい内容物と、噴射させるための液化ガスや圧縮ガスなどの高圧ガスの噴射剤が密封される耐圧容器.エアゾール容器を使用する製品はその製造、容器の構造などに高圧ガス保安法の適用を受ける必要がある.液化ガスとしては液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)などが、圧縮ガスでは窒素、二酸化炭素がおもに使用される.容器の構成材料は缶、バルブ、ボタンあるいはスパウト、保護キャップからなる.缶に内容物と噴射剤が充填されて製品となる(図).吐出状態は霧状、泡状、クリーム状に分類され、たとえば溶解系の中身に噴射剤として液化ガスを40〜70%混合させれば霧状に噴射される.また、乳化系の中身に液化ガスを5〜15%混合すれば泡状に吐出される.(1)缶エアゾール容器には耐圧強度が必要であり、缶は金属素材のブリキ缶、アルミニウム缶がおもに用いられ、内容物によってはガラス瓶や樹脂容器も用いられる.缶とバルブの固定方法は缶の口元にバルブをかしめる方法をとる.金属の場合、腐食を防止するため内面コートを行っているが、通常のエポキシ系樹脂のほかに、より物性が優れるポリアミドイミド系樹脂も使用される.(2)バルブバルブもエポキシ系樹脂コートを行ったアルミニウム以外に、耐腐食性に優れるポリエステルフィルムを積層したものも使用される.吐出状態、使用方法によってバルブタイプは異なる.
吐出の種類
(1)霧状吐出液化ガスであればガスの比率をやや高めにして内容物と均一な状態にして噴霧すると、噴口近傍で液化ガスの膨脹気化が起こり、内容物が微細に分散されることで霧をつくることができる.さらにボタンの噴口を内容物が渦巻き状で吐出されるような構造にすることでより細かい霧になる.圧縮ガスの場合は、ガスは液化ガスのように膨張気化という性質をもたず、ただ内容物を噴出させる役割だけを果たすため、霧をつくるのに噴口部に前述の機構が不可欠となる.(2)泡状吐出活性剤を含む内容物に液化ガスを乳化または分散させたものを吐出すると、液化ガスの気化を利用してきめの細かな泡に発泡した製品ができる.
特殊なエアゾール
中身と噴射剤が接触しない2重構造の容器が、高粘度の中身や不安定な中身を吐出させたい場合に使用されている.外容器と内容器の間に噴射剤が充填されており、内容物が入った内容器を圧縮することで内容物を噴霧あるいは吐出することが可能である.また、ボディに使用する商品では倒立状態でも噴霧できるように、バルブのパイプの先端に重りをつけてパイプが曲がるようにした方式も使われている.(鳥居晶仁)

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