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第254回「学術講演会」のお知らせ

  • 満員の会場風景
  • 岩崎部会長の開会挨拶
  • 小宮氏の講演
  • 稲葉教授の講演
第254回「学術講演会」が7月7日学士会館にて219名の聴衆を集めて開催されました。
1題目は伊勢丹(株)の小宮仁奈子氏より、「伊勢丹に視るナチュラル・オーガニックコスメに対する消費者の変遷」という演題で御講演いただきました。
小宮先生は伊勢丹入社後、2000年にオープンしたBPQC、2008年オープンのビューティーアポセカリーに携わり第一線で活躍されております。
今回は、化粧品売上世界一と言われる伊勢丹の化粧品売り場の変化を通じ、市場の拡大が目覚ましいナチュラル・オーガニックコスメに対する女性たちのニーズ・意識がどう変化したか、また今後の市場展望・課題についてもお話しをいただきました。
1990年代、大手制度品で画一化された売り場の差別化を図るため、伊勢丹ではナチュラルコスメを導入。社会進出に伴い急増した「頑張りすぎる女性」に癒しを提案し、ブームとなりました。さらに顧客の成熟化が進み、流行りに流されるのではなく、「自分の体に合った」良いものを取り入れたいという「“自分目線”の女性」が増えてきたことを受け、漢方まで含めた内外美容を提供するナチュラル・オーガニックコスメのセレクトショップ「ビューティーアポセカリー」誕生に至ったというお話でした。
消費者ニーズをいち早く分析し、常に情報発信の先端を走りつづける先生のお話には大変臨場感があり、普段お客様と接することのない我々技術者にとっては大きな刺激となった講演でした。

2題目は、工学院大学工学部環境エネルギー学科、稲葉敦教授より『カーボンフットプリント制度の概要と国内外の動向について』を議題にご講演頂きました。カーボンフットプリントとは、商品の原材料調達から廃棄・リサイクルに至るライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスをCO2に換算しラベルなどに表示する制度で、英国、フランス、韓国等ではすでに実地されています。日本では経済産業省を中心とした試行事業が進められている最中、その国内研究の第一人者である稲葉氏より貴重なご講演を行っていただきました。カーボンフットプリント制度は、消費者が低炭素社会に貢献する為の手助けをするもので生産者が他社製品と自社製品を比較するものでは無いと稲葉氏は言う。つまり“CO2の見える化”を行い、製品選びの基準にCO2排出量も考えてほしいという大変分かりやすいお話を頂きました。カーボンフットプリント制度の国際標準規格が2012年頃発行される予定であり、今後の動向についてCSRの面からも非常に興味深い御講演でありました。
(2題目の講演内容は下記URL参照)
http://www.cfp-forum.org/
http://cfp-japan.jp/