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IFSCC 2023 Congress バルセロナ大会

  • 2023 IFSCC Basic Research Award
  • 2023 IFSCC Applied Research Award
  • 2023 IFSCC Johann Wiechers Poster Award
  • SCCJ旅行団
  • ポディウムセッションの様子
  • 賑やかなGala Dinner会場
IFSCC2023 Congressが9月4~7日にBarcelona/Spainで開催されました。
最終日のGala dinnerでは、下記の各AWARDが発表されました。
 
■2023 IFSCC Basic Research Award■
「Deep dive in emotional communication in humans: study of the transmission of positive emotions through body odors.」
Aline Robert-Hazotte
Shiseido Group Europe Innovation Center (France)

■2023 IFSCC Applied Research Award■
「Novel Design Strategy for Mineral Sunscreens: Dynamic Homogenization of Inorganic UV Filters on the Skin for Enhanced UV Protection and Visual Transparency.」
Ryushi Fukuhara
Shiseido (Japan)

■2023 IFSCC Johann Wiechers Poster Award■
「Next-generation anti-perspirant technique: Controlling the contraction of human eccrine gland」
Takeshi Hara
Mandom Corporation (Japan)

各TOP10,TOP9 Finalists は「IFSCC 2023 Congress Awards to most meritorious presentations」  からご覧いただけます。
registration   約1000名
Oral発表      76件
Poster発表     373件
Keynote lecture   9件
(2023.09.08時点でのSpain societyからの情報)


【IFSCC 2023 Barcelona congress 参加レポート】
 第33回IFSCC大会が2023年9月4日~7日にスペイン・バルセロナで開催されましたのでその様子をレポートします。

- 4年ぶりのSCCJ旅行団 -
 コロナ禍による規制等で、この数年間SCCJ主催「IFSCC参加旅行団」の企画ができなかったため、実に4年ぶりの旅行団結成。
旅行団としては成田発・関空発の2班、計95名、2023年9月1日~9日の9日間の行程でした。旅行団運営にご尽力いただいた国際委員・担当チームの皆様に感謝申し上げます。
南回りでの移動、成田空港発着組はドーハでの5時間の乗り継ぎを含め合計24時間以上の大移動となりました。
 9/3の夜に催された「結団式」ではSCCJ副会長の山原氏より乾杯のご発声を、SCCJ国際委員長の松本氏より締めのご挨拶をいただき、大いに盛り上がって旅行団の親交を深める時間となりました。

- 視察 -
到着翌日9/3の視察ではグエル公園、サグラダファミリアを訪問。
芸術の街バルセロナに相応しい美しい建築・造形物に圧倒されると共に、それらが生まれる背景となったバルセロナ版ルネサンスの動きや、芸術を守っていくという社会の取り組みにヨーロッパの懐の深さを感じました。
帰国日9/8午前中は、Natura Bissé社を訪問。
同社は高価格帯のスキンケア製品を中心とした化粧品会社で、副社長のVerges Fisas Ricardo氏から会社説明を受けた後、社内見学を実施いただきました。ブランドコンセプト、経営哲学をしっかりとお持ちで工場も最先端。とても洗練された印象を受けました。

 -いよいよ大会本番! -
 今大会のテーマは“Rethinking Beauty Science”、オープニングセレモニーでは実行委員長のCarmina Casas氏が挨拶を行い、美しいバルセロナの街で出逢いによって新しいものが生まれる場になるようにと大会への期待を述べておられました。
また、山本芳邦氏(山本香料株式会社)、南野美紀氏(株式会社ベルヴィーヌ)のお2人が長年の功績を称えられフェローに就任されることが発表されました。

- 全てがすんなり。とはいかず、、、-
 今年はあまり大きな混乱はなかったのですが、やはり全てがすんなり進むわけではなく、、、
先ずは、毎回必ず何かしらの問題が発生し(色々な意味で)、高い対応能力が求められるポスター発表。
大会側から両面テープが支給され、発表者の皆さんは開幕前日にポスターを貼りに会場へ。
粘着力が弱く、貼り直しても貼り直してもポスターが剥がれ落ちる事態が続出。急遽スーパーに駆け込んで粘着テープを調達することに。
念を入れて日本から両面テープを持参されていた発表者の方は周囲の方々に貸してあげたり、と助け合いをされていました。
 他にも、大会参加者用の紙製バッヂの穴が我々の活動の激しさに耐えられず切れて無くす方が続出(体感としては8割くらいのバッヂが脱落?)、参加者同士が拾って届ける善意の活動が発生。
受付スタッフは、眩しい笑顔で「また切れたらいつでも来てね!」と、テープで補強してくれました。
ポスターもバッヂも想定外のハプニングでしたが、日本からの参加者同士助け合い、これも旅行団の良さかなと感じました。

- ポスターセッション -
 今年は382題のポスター発表がありました。ポディウムの合間に30分のコーヒーブレイクが2回と60分のランチブレイクが設定されており、発表者には3日間の中でコーヒーブレイク中の30分×2回とランチブレイク中の60分×1回の発表時間が設定されていました。
指定された時間に発表者が立っているか、しっかりとチェックされていました。
一方で、コーヒーブレイク中は多くの見学者がいましたので設定された発表時間以外も積極的にコミュニケーションをとっている発表者の方が多くみられました。
また、ポスターが蛇腹型に設置されており隣接するポスターとの距離が非常に近く、少し発表のやりづらさを感じた方も多かったようです。

- ポディウム -
 大会コンセプトの”Rethinking Beauty Science”に沿って大きく“Rethinking Beauty”“Rethinking Nature”“Rethinking Science”の3カテゴリーが設けられていました。
総演題数は75題で内訳はRethinking Beautyが30題、Rethinking Natureが13題、Rethinking Scienceが32題でした。
日本企業(海外現地法人含む)の発表は合計17題でした。発表全体の数では初めて中国に1位を譲ったものの、口頭発表数では1位を堅持しました。
今回の傾向としては、Senescence、Neuroscience などの研究やemotional communicationを扱った発表が多く設定されていて研究の盛り上がりを感じました。
また前回ロンドン大会と比べると処方技術についてのテーマが増えたことも今大会の特徴だったように感じます。

- Gala Dinner、そしてアワード発表 -
 congress最終日の9/7は多くの出席者が楽しみにしているGalaディナーが催されました。今回は国立カタルーニャ美術館での開催で、高台にあるのでバルセロナの夜景が一望できるとても素敵な場所でした。
そしてGalaの場でアワード(最優秀賞)の発表です。アワードはBasic Research、Applied Research、Posterの3つが発表されます。
今年は、日本からの発表が「Applied Research Award」と「Poster Award」を受賞されました。
受賞者はもちろんのこと、日本から参加されている皆様からも多くの喜びの声が上がっていました。この他にも3部門のTOP10ファイナリストに日本からの発表が多くノミネートされる結果となりました。

- まとめ -
 今回、発表数では中国が1位という初めての大会となり、日本の技術者会の国際的な地位向上という観点ではどうなるか注目していましたが、蓋を開けてみればオーラルの発表数は17題でトップ、そして福原隆志氏(株式会社資生堂)、原武史氏(株式会社マンダム)と日本からの発表が2つのアワードを受賞。改めて日本の技術の高さが世界に認められる大会になりました。
 余談ですが、発表者の方々から「発表に際して6/15にSCCJで開催された”IFSCC発表者の集い”に参加してあった事で、発表に向けての心構えができた」というお声を沢山いただきました。
次回以降の発表を目指す方々にもぜひご活用いただければと思います。
SCCJ国際委員 関根 涼(日光ケミカルズ株式会社)