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第247回「学術講演会」

  • 学術講演会全景(学士会館)
  • 中村氏の講演
  • 辻氏の講演
主要テーマの一つが環境・気候変動である洞爺湖サミット開催中の7月8日、東京も厳戒態勢の中、学士会館にて講演会が行われた。
一題目は、「水溶性大豆多糖類の分子構造と物性機能について」不二製油株式会社フードサイエンス研究所中村彰宏氏より、ご講演をいただいた。
本講演の大豆多糖類は主鎖から種々の糖鎖が分岐し、さらにプロリンリッチの蛋白質が結合した球状構造である。特徴として乳化安定、造膜、結着作用を有し、食品分野で乳飲料の安定化、米飯・調理麺のほぐれを良くするため使用されている。
大豆蛋白質を製造する際に副生するオカラから得られる水溶性多糖類であるため環境にもやさしく、講演で述べられた特徴を活かして化粧品分野での応用が期待できると思われる。
二題目は、朝日新聞論説委員の辻篤子氏より、「科学技術とメデイア〜社説の現場から」という演題で講演していただいた。日ごろ私たちは出来上がった新聞を読んでいるが、それを作る側からのお話で興味深かった。特に辻氏は論説委員として社説を執筆されており、議論重ねた上で新聞社としての意見を代表して載せる社説を読むことは、世の中の動きを知る上で有益なので、ぜひ読んでほしいということであった。また、「あらたにす」というweb site(http://allatanys.jp/)で、朝日、日経、読売の社説を読み比べることができることも紹介された。辻氏が長年携わってこられた科学に関しては、1990年代以降地球環境問題や、経済発展のための科学技術という観点で、科学と社会とのつながりがより重要視されるようになっており、化粧品技術者を含めた研究者は、社会に対して科学情報を公開して、説明責任を果たすことが重要であるということであった。
次回「学術講演会」は10月下旬を予定しております。ご案内は9月中旬予定(ホームページ、会員への郵送)