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  • 赤松先生ご講演の様子
  • 赤松先生_ご講演終了後
『痤瘡の診断と治療』
 <講師> 藤田保健衛生大学医学部 
応用細胞再生医学講座 教授
       医学博士  赤松 浩彦 先生

尋常性痤瘡は、痤瘡の中で最も代表的な疾患であり、一般に痤瘡といえば "尋常性痤瘡"、すなわち "二キビ"のことを指します。痤瘡には新生児痤瘡など多くの疾患が含まれており、その原因もきわめて多岐にわたっています。
本講演では、ニキビの病態と治療法を中心に赤松先生に解説して頂きました。
あるアンケートにおいて、ニキビを完全に治したい人は、男性で60%以上、女性では80%以上いるとの結果が報告されております。その要因として、ニキビによる見た目の悪化は、鬱になる、あるいは人と会いたくなくなるなどの「心理的影響」のほか、「社会的影響」として、外食をしない、スポーツをしないなどが挙げられます。また、イギリスでは、失業率への影響があると論文報告されています。さらに、ニキビの改善はQOL(quality of life)の改善につながるという報告もあります。
よって、ニキビを改善、治療することはこれらの影響をなくすことであり、ひいては社会貢献にも繋がります。
現在、ニキビの治療のため病院へ行く罹患者は3割以下で、大半はドラッグストアなどで治療薬を購入しています。そのため、医薬部外品や化粧品の果たす役割は大きく、社会貢献にも繋がります。
ニキビは、皮脂分泌の多い毛穴の脂腺性毛胞が多数ある顔部分にできることが多い。最近よく耳にする背中ニキビは、背中に脂腺性毛胞が少ないことからマラセチア毛包炎という別の症状の可能性が高く、ほとんどはニキビではありません。
ニキビの発生は、①皮脂分泌、②毛穴が詰まる、③毛包性細菌(ニキビ菌)の増殖、④炎症と段階を踏みます。②で皮脂が詰まり、膨らんだ状態の白ニキビができ、③④で赤ニキビとなり、毛穴が壊れていきます。また、症状がひどいと皮下組織が破壊され、ニキビ痕として残ります。
現在、ニキビ用薬は、従来の殺菌剤と、最近日本でも認可された毛穴のつまりを解消する外用レチノイド薬のアダパレンを含有したゲルが処方されています。この薬はニキビ用としては世界80ヶ国で使用され、最も効果があるといわれていますが、副作用として肌の乾燥によってヒリヒリするため、処方の際は同時に化粧水などでのスキンケアを推奨しており、スキンケア製剤と一緒に処方する場合もあります。
日本皮膚科学会において、氾濫するニキビ治療法に対してガイドラインを設け、各治療法に対してエビデンスレベル(推奨度)の設定を行っています(尋常性痤瘡治療ガイドライン)。
このガイドラインには、一日2回の洗顔の推奨や、ニキビ肌対応のメイク(ノンコメドジェニック)を推奨するなど、化粧品に関わる内容についても記載されています。
 今回の講演会では、ニキビの病態と治療法を心理的な面も含め非常に分かりやすく解説して頂きました。赤松先生の今後のご活躍が、ますます期待される講演でした。
  
以上

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