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SCCJ 大阪支部「講演会」のご案内

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『放射能に関するお話』
<講師> 中部大学 総合工学研究所
 教授 工学博士 武田 邦彦 先生

去る3月11日の東日本大震災により東京電力福島第1原子力発電所が事故を起こし、放射能汚染の問題がクローズアップされています。化粧品業界においても関心が深いため、原子力関係の専門家でいらっしゃる中部大学の武田邦彦先生にご講演をお願いしました。

 日本の原子力発電所は安全であると言われてきましたが、残念ながら震度6の地震に耐えられる設計にはなっていません。今まで北海道から北陸にある原子力発電所はすべて震度6の地震により破壊されています。この事実から、少なくとも原子力の科学者は、「原発の安全技術は不完全である」ことを認めなくてはなりません。
 放射線防御は、法律では1年1ミリシーベルトが被曝限界とされていますが、事故後、政府は20ミリシーベルトまで安全だといっています。学問的には1年100ミリシーベルト以上の被曝と病気の関係しかわかっていません。これより低線量については医者の間でも意見の相違があります。法律で決められた数値は、1年100ミリシーベルトから0ミリシーベルトまで直線を引いて決めたもので学問的な根拠はありません。1年1ミリシーベルトについては、約3割の医者が「危険」といい、約7割が「安全」としています。政府が言う1年20ミリシーベルトは1年に胸のレントゲン400回に相当することから、たとえ「暫定被曝量」と政府が決めても、それが安全とは断定はできません。
 先日のテレビ番組中でお子さんが「東北の野菜を食べたらどうなるか?」という趣旨の質問がありました。私は、「大人の不始末は大人で解消したい」を思い、子供からの質問には正面から答えずに、大人に向かって(子供が心配しているから)「東北の野菜は出荷してはいけない」といいました。東北産の野菜でも被曝しているものは一部でしかありませんが、「東北産」とか「福島産」などと行政区で区別している現状ではこのような表現になってしまいます。個々の食材すべてにベクレル表示をして、「10ベクレル以下なら大丈夫です」と言えるようにすべきです。

 講演を通して色々なことをお話いただきましたが、武田先生が強調されていたのは「科学者や技術者は、先入観にとらわれず事実と正確なデータに基づいて自分で判断することが重要である」ということでした。
 武田先生は、今回のご講演の内容を含め、種々の情報や提言をご自身のホームページ(http://takedanet.com/)で発信されています。
以上