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第52回化粧品技術基礎講習会

  • 冒頭、幹事長の福田氏による活動紹介の様子
  • 化粧品開発の楽しさを語る特別講演
「東日本支部 第52回 化粧品基礎講習会」参加レポート

2月15~17日の3日間にわたり、東日本支部中心に企画し、Web開催された「第52回化粧品技術基礎講習会」に参加しました。
冒頭、SCCJ東日本支部幹事長より、今回の化粧品技術基礎講習会の他、研究討論会やSCCJセミナー、IFSCCなど化粧品業界の方たちと交流できる活動をご紹介いただきました。今回のようなWeb形式は、移動を伴わず参加しやすい反面、参加者や講師との気軽な交流が難しいため、今後のイベントも是非積極的に参加していきたいと思いました。
カリキュラムは、特別講演含めて17講演ありました。国内外化粧品工業の現況と展望に関する最初の講義では、コロナ前後を比較しながら市場の変化をご説明いただきました。コロナ後の新しい生活様式に対応した取り組みとして、デジタル化加速、越境EC、テレワーク普及に伴う化粧品ニーズの変容など、化粧品業界の現状と課題を分かりやすくお話しいただき、大変参考になりました。次に、化粧品技術者にとって基礎的な情報・知識をご講義いただきました。皮膚や毛髪の基礎科学、製剤総論と化粧品全般の講義から入り、化粧品の原料、スキンケア、洗浄、メイクアップ、頭髪化粧品、そして化粧品用香料、容器・包装、品質保証、製造設備と具体的な各論へと展開され、若手の方や商品企画・販売などを担当されている方々にも理解しやすいよう工夫されていました。さらに、開発の心得、化粧品における法規制や知的財産権、化粧品の心理的有用性と多岐にわたり、非常に充実したカリキュラムでした。所々、最新トピックスも盛り込まれており、若手だけでなく、改めて化粧品技術を見直す方にとっても有意義な時間になったと思います。
各講義は、初心者でも基礎技術を理解しやすいよう分かりやすく丁寧な説明でした。加えて長年の経験から講師が感じた気付きやメッセージも込められていたように感じました。例えば、容器開発では、お客様の使い方や使用場面を想定した品質保証が必要です、たとえ想定外の使い方であっても、その使い方を知り、お客様の声を聴き改善することが大切であるとお話されていました。改めて、商品を通してお客様とコミュニケーションをとっていることに気付かされました。他にも、リポソーム美容液の開発事例では、開発時のご苦労や開発者の強い意志が開発を推進する!という熱いお話、医療分野での事例では、化粧品には、言葉にできない気持ちのゆとりやあたたかさを届ける力があるという、開発者の自信につながる温かいエピソードもご紹介いただきました。また特別講演では、しなやかな髪の本質研究とその成果を応用した商品開発事例を紹介いただいた中で、開発する楽しさは様々な苦労にも勝るという素敵な経験談をお話しいただきました。
これから化粧品開発にかかわる多くの方にとって、今回学んだ基礎知識は大切な土台となり、講師の経験やメッセージは開発においても仕事人生においても貴重なヒントになるだろうと思いました。最後に、本講習会を企画運営された皆さま、講師の皆様に感謝申し上げます。
SCCJ広報委員 福永恭子(花王株式会社)