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IFSCC 2022 congress(ロンドン大会)

  • 会場となったパークプラザ ウエストミンスターブリッジ
  • オープニングセレモニー
  • ポスター会場の様子
  • 日本からご参加の皆さん
IFSCC 2022 Congress ロンドン大会参加レポート

第32回IFSCC大会が、2022年9月19-22日、ロンドンのパークプラザ ウエストミンスターブリッジで開催されました。
その様子をレポートします。

3年振りのリアル開催
前年と前々年のIFSCCは、世界的な新型コロナウイルスCovid-19感染拡大によりオンライン開催でした。今回もオンライン開催か…と半ば諦めていたのですが、リアルとオンラインのハイブリッドで開催するとの情報が!日本でも行動制限が緩められ、実際に渡航できるか半信半疑だったものの、晴れて現地に行けることになりました。

ロンドンへ
いよいよ渡航まであと約1週間に迫ったある日、エリザベス女王崩御のニュースが飛び込みます。昼夜続く弔問の列などは連日メディアで取り上げられました。国葬は、IFSCCのオープニングが予定されていた9月19日に、テムズ川を挟んだ目と鼻の先にあるウエストミンスター寺院にて行われることとなりました。
ロンドンに入ると、テムズ川沿いにはTVで見ていた弔問の列が続いており、店々には哀悼の意を示す女王の肖像も。人々の女王に対する敬愛が伝わってきました。

葬儀と同時刻だったワークショップは見合わせ、理事会の日程も変更に。
またオープニング会場はウエストミンスターホールから学会会場のパークプラザに変更となるなどバタバタしましたが、後は全てスムーズに進みました。(その分、大会関係者は再調整の嵐で本当に大変だったことと思います。心より感謝します。)

数字で見る全体感
 演題数
 ・口頭発表77件(日本からは12件)
 ・ポスター 317件(日本からは42件)
 参加者数
 ・現地リアル参加 761名
 ・オンライン参加 127名

フタを開けてみれば、盛況でした。3年ぶりのリアル開催にどことなくウキウキした雰囲気も。お国の事情などで渡航が難しく辞退した演題もあったはずですが、それでもこの数字から技術者たちの意気込みを感じます。日本からはフランスに次いで2番目に多い発表数となりました。

ハイブリッドでデジタルな新しい学会のカタチ
口頭発表会場には大きなカメラが入り、オンライン参加者向けにプレゼンテーションが配信されます。イベント用のアプリ「Cvent Events」はプログラムやポスターのチェックに役立ちました。参加者の検索やメッセージ送信も可能。大会アナウンスもアプリで通知され、スムーズな進行を助けました。

「読めない」状況の楽しみ方
ポスター会場にもデジタルが取り入れられました。タッチパネル式の電子モニターです。発表者は好きなモニターの前に立ち、あらかじめ提出済みの自分のポスターを表示させ、お客を待ち構えます。空いているモニターは誰でも操作でき、好きな時に見たいものを閲覧することができました。
ちょっと困ったことといえば、ポスターの画質がイマイチだったこと。スムーズな操作性を優先して画質が一律で落とされたと見え、細かい文字や画像がつぶれていたのです。予期せぬ事に発表者の皆さんはちょっぴり残念そうでした。しかしケガの功名と言うべきか、説明する側が「画質はちょっとごめんね、頑張って説明するね~(笑)」とおどければ、聞く側も「気にしないで!あ、ふむふむ、読み取れるかも(たいてい無理)」と答えるなど、会話の潤滑油となるシーンも。先が読めない状況にめげず集まった者どうしの連帯感がそこにあった気がします。
とはいえ、今後電子モニターでポスターを発表する機会がありましたら、文字や図は大きく、かつシンプルな構成でご準備されることをお勧めいたします!
    
サイエンスプログラムを終えて
まさに「直で深くコミュニケーションできる」リアルの良さと、「どこからでも手軽にコミュニケーションできる」オンラインの良さを両方満たす新しいカタチでした。
本年は残念ながら日本勢の受賞はありませんでしたが、発表の質、数ともに大きな存在感を示しました。各国のレベルも右肩上がりの中、自分達らしく優れた研究でますます業界をリードしていく存在になりたいですね。
2023年のIFSCC大会はスペインのバルセロナです。次回はどのような発見があるでしょうか?楽しみです。
SCCJ国際委員 倉沢 真澄(株式会社ポーラ・オルビスホールディングス)