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第205回 講演会

平成29年2月20日(月)に大阪薬業年金会館において、大阪大学 人間科学研究科 
森川 和則先生をお招きし、「錯視研究から見た化粧の心理効果」と題して、第205回大阪支部講演会が開催されました。
「見た目」を、物理的現実(本来の顔形)の差分を科学的・定量的に測定した試験結果を踏まえ、顔と化粧の錯視の特徴を分かりやすくお話しして頂きました。
講演の内容としては、化粧と錯視(錯視とは物理的現実と目で知覚されたものとが異なる現象を指す。化粧は錯視を活用している。)から、口紅の明るさと色で人の顔肌に影響する錯視量の実験データ、デコルテが明るいと顔が明るく見える肌色錯視(エコー錯視)の実験データを元に錯視量を算出し、肌の見え方について説明頂きました。

また、アイメイクによる化粧方法では、適正な化粧が一番錯視量が大きく、過度のアイメイクは逆に錯視量が小さくなること、眉毛と目の間隔が狭い方が、目が大きく見えることも実験データを元に説明頂きました。
化粧方法により人の見る側の人の印象は大きく変わることが、非常にわかりやすく伝わってきました。
最後に、顔と錯視の特徴として、
①対比よりは同化方向になりやすい、
②錯視量は最大で5%前後になることが多い、
③錯視量の個人差が小さく、安定して生起するので1%の錯視でも統計的に有意になりうる、
④小さな錯視量でも顔の見た目の印象変化は大きいと説明され、
化粧研究においては薬学、皮膚科学、材料科学が最重要であるが、化粧品はそれを使用している人を見る人の脳に作用するように設計されている。したがって見る側の要因の研究を抜きにしては化粧研究は完結しない、視覚心理学の果たす役割は大きいと力説されていました。

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