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「第83 回SCCJ 研究討論会」および「IFSCC 2018 ミュンヘン大会 国内報告会」

「IFSCC 2018ミュンヘン大会 国内報告会」レポート
 
 昨年末、2018年12月21日に開催されたIFSCC 2018ミュンヘン大会 国内報告会へ参加してきました。冒頭で尾郷学術委員長より、2020年に日本で開催されるIFSCC横浜大会への意気込みをこめた挨拶がありました。テーマである「Pushing Boundaries」は、「今あるものを押し広げて新領域を取り込んで成長する」という意味であり、2018年ミュンヘン大会でも、ブルーライトやPM2.5関連の学術発表が多く見られるなど新しい皮膚科学が生まれていることが強調されました。
 また、神田国際副委員長からは、ミュンヘン大会の詳細が報告されました。学術発表数は、口頭、ポスターともにフランスが1位、日本は口頭発表数が2位で、ポスターは韓国に次ぐ3位という結果でした。受賞数こそ日本が1位を獲得しましたが、IFSCCの定めるサイエンスポイントでは、長年守ってきた1位の座をフランスに奪取されます。神田副委員長からは、今後の巻き返しに期待する熱のこもった激励をいただき、会場の技術者たちは士気が上がったと思われます。順位はともかく日本の技術者会(SCCJ)が世界の化粧品業界を牽引する力でありたいと思います。そのためにも2019年ミラノ中間大会、2020年横浜大会で多くの魅力的な発表ができればよいと強く感じました。
 さて、今回の国内発表の内容ですが、口頭14題、ポスター55題という非常に多くの発表がありました。いずれも前衛的な知見に満ちたすばらしい発表でしたが、総じて感じたのは近年のデータ表現力のレベルの高さです。浸透した成分の局在を鮮明な画像で示したり、皮膚内の小器官が拍動する様子を動画で捉えたり、従来では考えられないクオリティの表現が可能になり技術の進歩に驚くばかりです。
 なかでも、資生堂の江連氏が発表された研究は独創的でした。この発表はミュンヘン大会でアワードを受賞した研究ですが、AIと基礎研究を融合させた興味深い内容でした。皮膚内のさまざまな写真をAIで機械学習させ、皮膚をデジタルで再構築することでデジタル3Dスキンを作り出します。さらにその精巧なデジタル3Dスキンを解析することで真皮層の細胞の小ネットワーク群を突き止めるとともに、細胞老化との関連性について報告されました。
 そのほかにも、AIや高解像度測定機器を用いた研究発表が多くなされており、研究および実験の手法が変革期にきていることを感じさせました。これからは、「人が仮説を立てて、実験で証明する」という流れとは違い、「AIで仮説を立て、人が装置を活用して証明する」時代なのかもしれません。陳腐な言葉ですが「未来きた!」と感じるワクワクする内容でした。2020年のIFSCC横浜大会へ向け、良い刺激となる報告会でした。
 
SCCJ広報委員 田中清隆/一丸ファルコス(株)
  • いよいよ近づいてきた横浜大会
  • ミュンヘン大会の詳細報告
  • 大盛況のポスター発表
  • 熱のはいった口頭演題も多数ありました