EVENT イベント

第55回SCCJ セミナー「屋外での活動を支援する紫外線対策技術」~知っておきたい サンスクリーン製剤の現在~

SCCJセミナーレポート

第55回SCCJセミナー 
テーマ:屋外での活動を支援する紫外線対策技術
    ~知っておきたい サンスクリーン製剤の現在~

2020年 2月21日(金)(於:京都テルサ 講演数:6題 参加者163名)

講演① 有機系紫外線吸収剤の開発の歴史、およびその効果的利用
BASFジャパン(株)
分部 孝範 氏
UVBは直接的にDNAにダメージを与えることによってサンバーンやサンタンの原因となる。一方、UVAは真皮にまで到達し、そこで活性酸素を誘発することよって長期的な光老化の原因となる。近年はこれら紫外線に加えブルーライトや近赤外線など、より長波長側の光にも皮膚に悪影響を及ぼすことが分かってきた。紫外線吸収剤の歴史はUVBを防御できる素材から始まり、その後UVA防御に特化したものやUVを広範囲に防御できるものが登場した。最近では、無機系紫外線散乱剤と同様な粒子的性質を併せ持った有機微粒子紫外線吸収剤が開発され、これは紫外線吸収能に加え、光反射や多重散乱によって周囲の紫外線吸収剤の効率を高める効果も期待できる。サンスクリーン剤を処方設計する上で欠かすことのできない紫外線吸収剤について網羅的に知ることができ、また新たな規制なサステナビリティへの対応などの課題についても考えさせられる有意義な講演であった。(岩瀬コスファ㈱ 田中一平)

講演② 無機系紫外線散乱剤の特徴と最新動向
    テイカ(株)
江尻 和正 氏
無機系紫外線散乱剤として代表的なものは酸化チタンと酸化亜鉛である。ともに、化学的に安定性の高い素材であることに起因する安全性の高さと、光によって劣化しないことによる効果の持続性が大きなメリットである。酸化チタンはUVBの散乱に適しており、酸化亜鉛はUVAの散乱に適しているが、見た目の透明性を維持しつつ、散乱効果を十分に発揮させるには、両散乱剤ともに粒子サイズの制御と分散性の向上が重要なポイントとなる。さらに分散性向上と製剤への配合を考える上では表面処理が必要不可欠であるが、最新の酸化亜鉛では、疎水性のオクチルシランと両親媒性物質で表面処理することによって、水への分散性が良好かつ経時でpHが変動しないものが開発されている。本講演を通じて、無機系紫外線散乱剤の機能を如何に引き出すかについて、各素材メーカーの研鑽を伺い知ることができた。(岩瀬コスファ㈱ 田中一平)


演題③ 紫外線防御化粧品のin-vivo・in-vitro評価方法
三洋貿易(株)
佐藤 珠紀 女史
紫外線防御化粧品において「SPF」「PA」等の指標は必須要項である。その評価指数の算出方法はISOで定められているが、独自の方法を確立している地域もある。本講演では、ISOで定めらてるin-vivo/in-vitroの算出方法からFDAで定められている測定方法まで詳しくご紹介頂いた。また現在までin-vitro試験方法はEUを中心に進められていたが、その算出方法にはヒトを用いて測定したin-vivoでの数値を必要とする為、完全なin-vitro法ではなかった。今回、2020年10月に施行されるISO23675(完全なin-vitroで算出できるSPF算出方法)についてもご紹介頂き、紫外線評価指数算出の新たな進化を学ぶ事ができた。
更に、現在まで測定者を悩ませていたSPFアナライザーのプレートへのサンプル塗布が、指ではなく機械で塗布可能な装置をご紹介頂き、今後in-vitro測定結果の信憑性が高まる事が期待される。(アサヌマコーポレーション㈱ 栗田知子)

演題④ 塗膜均一性と耐擦れ性に優れたサンスクリーン製剤化技術 
花王(株)
福井 崇 氏 
サンスクリーン製剤は紫外線から肌を防御する為の製剤である。しかしながら、その使用場面が増えるにつれて、サンスクリーン製剤に求められる機能が多様化している。日常使用向けに「軽い使用感」「塗布時の透明性」等が挙げられるが、近年では塗布直後の紫外線防御効果だけでなく「耐水性」「耐擦れ性」も重要な機能として注目されてきている。
本講演では、日常生活やアウトドアなど様々な場面でのUV防御効果持続性測定方法や、紫外線防止効果の阻害因子である「擦れ性」についての処方からのアプローチ方法をご講演頂いた。
主要な使用場面及び確認試験の簡易さから「耐水性」に注目しがちであるが、汗を拭くタオルや衣服、その他接触物質に対しての「耐擦れ性」も非常に重要であることを学ぶことができた。
(アサヌマコーポレーション㈱ 栗田知子) 

演題⑤ 高SPF/PAと耐水性を両立させたサンスクリーン製剤の開発
ポーラ化成工業(株)
中谷 明弘 氏
『楽しい時間・場所ほど紫外線の影響を受けていることが多い』という事実から生活者を守るためには、紫外線カット効果を高めるだけでなく、その効果を持続させるための技術や良好な感触も必要となる。
本講演では、サンスクリーン製剤に用いられている紫外線をカットする散乱剤や吸収剤の基本特性から、それを製品に応用するための製剤化技術、さらに剤型による「感触」と「機能性」の違いについて具体的に示していただいた。また、高SPF/PAと耐水性を両立させる技術として、ポリアクリル酸Naを分散剤として用いた水分散型微粒子酸化チタンP-TiO2について紹介いただき、被膜中での微粒子の分散状態やポリマーの配向状態が高い紫外線カット効果と耐水性を両立させるポイントであることを詳細に示された。これらの知見は、「機能」と「使用感」を両立させることのできる商品を開発する上で参考となる非常に興味深い内容であった。(花王㈱ 尾沢 敏明)

演題⑥ トップアスリートのスキンケア ~オリンピックを支えている皮膚科医の話~ 
国立スポーツ科学センター スポーツクリニック
ニュー上田クリニック
上田 由紀子 先生
身体にとっても心にとっても非常に重要な役割を果たす皮膚をケアするスキンケアは、トップアスリートにとっても大切な役割を担っている。
本公演では、体を守るための皮膚の働きについて示された上で、普段あまり知ることのできないトップアスリートの皮膚トラブルやその対処法について、様々な視点から具体例を通して紹介していただいた。そこでは、スキンケアは皮膚状態をよくするだけでなく、「スポーツパフォーマンスの向上」、「メンタルコンディションの向上」、「疲労軽減や感染症の予防」にまで影響を与えていることが紹介され、改めてスキンケアの重要性に気づかされる非常に興味深い内容であった。本公演を通して得られた新たな視点は、今後の研究の方向性を考える上で、非常に役に立つ内容であったと思われる。(花王㈱ 尾沢 敏明)
SCCJセミナーレポート

第55回SCCJセミナー 
テーマ:屋外での活動を支援する紫外線対策技術
    ~知っておきたい サンスクリーン製剤の現在~

2020年 2月21日(金)(於:京都テルサ 講演数:6題 参加者163名)
講演① 有機系紫外線吸収剤の開発の歴史、およびその効果的利用
BASFジャパン(株)
分部 孝範 氏
UVBは直接的にDNAにダメージを与えることによってサンバーンやサンタンの原因となる。一方、UVAは真皮にまで到達し、そこで活性酸素を誘発することよって長期的な光老化の原因となる。近年はこれら紫外線に加えブルーライトや近赤外線など、より長波長側の光にも皮膚に悪影響を及ぼすことが分かってきた。紫外線吸収剤の歴史はUVBを防御できる素材から始まり、その後UVA防御に特化したものやUVを広範囲に防御できるものが登場した。最近では、無機系紫外線散乱剤と同様な粒子的性質を併せ持った有機微粒子紫外線吸収剤が開発され、これは紫外線吸収能に加え、光反射や多重散乱によって周囲の紫外線吸収剤の効率を高める効果も期待できる。サンスクリーン剤を処方設計する上で欠かすことのできない紫外線吸収剤について網羅的に知ることができ、また新たな規制なサステナビリティへの対応などの課題についても考えさせられる有意義な講演であった。
(岩瀬コスファ㈱ 田中一平)

講演② 無機系紫外線散乱剤の特徴と最新動向
テイカ(株)
江尻 和正 氏
無機系紫外線散乱剤として代表的なものは酸化チタンと酸化亜鉛である。ともに、化学的に安定性の高い素材であることに起因する安全性の高さと、光によって劣化しないことによる効果の持続性が大きなメリットである。酸化チタンはUVBの散乱に適しており、酸化亜鉛はUVAの散乱に適しているが、見た目の透明性を維持しつつ、散乱効果を十分に発揮させるには、両散乱剤ともに粒子サイズの制御と分散性の向上が重要なポイントとなる。さらに分散性向上と製剤への配合を考える上では表面処理が必要不可欠であるが、最新の酸化亜鉛では、疎水性のオクチルシランと両親媒性物質で表面処理することによって、水への分散性が良好かつ経時でpHが変動しないものが開発されている。本講演を通じて、無機系紫外線散乱剤の機能を如何に引き出すかについて、各素材メーカーの研鑽を伺い知ることができた。
(岩瀬コスファ㈱ 田中一平)

演題③ 紫外線防御化粧品のin-vivo・in-vitro評価方法
三洋貿易(株)
佐藤 珠紀 女史
紫外線防御化粧品において「SPF」「PA」等の指標は必須要項である。その評価指数の算出方法はISOで定められているが、独自の方法を確立している地域もある。本講演では、ISOで定めらてるin-vivo/in-vitroの算出方法からFDAで定められている測定方法まで詳しくご紹介頂いた。また現在までin-vitro試験方法はEUを中心に進められていたが、その算出方法にはヒトを用いて測定したin-vivoでの数値を必要とする為、完全なin-vitro法ではなかった。今回、2020年10月に施行されるISO23675(完全なin-vitroで算出できるSPF算出方法)についてもご紹介頂き、紫外線評価指数算出の新たな進化を学ぶ事ができた。
更に、現在まで測定者を悩ませていたSPFアナライザーのプレートへのサンプル塗布が、指ではなく機械で塗布可能な装置をご紹介頂き、今後in-vitro測定結果の信憑性が高まる事が期待される。
(アサヌマコーポレーション㈱ 栗田知子)

演題④ 塗膜均一性と耐擦れ性に優れたサンスクリーン製剤化技術 
花王(株)
福井 崇 氏 
サンスクリーン製剤は紫外線から肌を防御する為の製剤である。しかしながら、その使用場面が増えるにつれて、サンスクリーン製剤に求められる機能が多様化している。日常使用向けに「軽い使用感」「塗布時の透明性」等が挙げられるが、近年では塗布直後の紫外線防御効果だけでなく「耐水性」「耐擦れ性」も重要な機能として注目されてきている。
本講演では、日常生活やアウトドアなど様々な場面でのUV防御効果持続性測定方法や、紫外線防止効果の阻害因子である「擦れ性」についての処方からのアプローチ方法をご講演頂いた。
主要な使用場面及び確認試験の簡易さから「耐水性」に注目しがちであるが、汗を拭くタオルや衣服、その他接触物質に対しての「耐擦れ性」も非常に重要であることを学ぶことができた。
(アサヌマコーポレーション㈱ 栗田知子) 
 
演題⑤ 高SPF/PAと耐水性を両立させたサンスクリーン製剤の開発
ポーラ化成工業(株)
中谷 明弘 氏
『楽しい時間・場所ほど紫外線の影響を受けていることが多い』という事実から生活者を守るためには、紫外線カット効果を高めるだけでなく、その効果を持続させるための技術や良好な感触も必要となる。
本講演では、サンスクリーン製剤に用いられている紫外線をカットする散乱剤や吸収剤の基本特性から、それを製品に応用するための製剤化技術、さらに剤型による「感触」と「機能性」の違いについて具体的に示していただいた。また、高SPF/PAと耐水性を両立させる技術として、ポリアクリル酸Naを分散剤として用いた水分散型微粒子酸化チタンP-TiO2について紹介いただき、被膜中での微粒子の分散状態やポリマーの配向状態が高い紫外線カット効果と耐水性を両立させるポイントであることを詳細に示された。これらの知見は、「機能」と「使用感」を両立させることのできる商品を開発する上で参考となる非常に興味深い内容であった。
(花王㈱ 尾沢 敏明)

演題⑥ トップアスリートのスキンケア ~オリンピックを支えている皮膚科医の話~ 
国立スポーツ科学センター スポーツクリニック
ニュー上田クリニック
上田 由紀子 先生
身体にとっても心にとっても非常に重要な役割を果たす皮膚をケアするスキンケアは、トップアスリートにとっても大切な役割を担っている。
本公演では、体を守るための皮膚の働きについて示された上で、普段あまり知ることのできないトップアスリートの皮膚トラブルやその対処法について、様々な視点から具体例を通して紹介していただいた。そこでは、スキンケアは皮膚状態をよくするだけでなく、「スポーツパフォーマンスの向上」、「メンタルコンディションの向上」、「疲労軽減や感染症の予防」にまで影響を与えていることが紹介され、改めてスキンケアの重要性に気づかされる非常に興味深い内容であった。本公演を通して得られた新たな視点は、今後の研究の方向性を考える上で、非常に役に立つ内容であったと思われる。
(花王㈱ 尾沢 敏明)