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第4回 化粧品技術専門講習会 乳化・可溶化講座

  • 熱心に受講する参加者
  • ご講演頂いた鈴木敏幸先生
  • オープンディスカッション風景
  • 講習会後の質問コーナー
第4回化粧品技術専門講習会参加レポート

年の瀬迫る12月3日に西日本支部主催の化粧品技術専門講習会に参加致しました。今回は「乳化・可溶化」と化粧品技術者にとっては、必須のテーマであった為、募集人数を越える応募がありました。講師は化粧品乳化・可溶化の第一人者の鈴木敏幸先生。先生のお話しを聞きたいという参加者の層も幅広く、ベテランから若手の方まで141名が参加致しました。
最初に南野部会長から、鈴木先生のご経歴の紹介に続き、「自分で乳化処方をつくりたい」と思っている人、または上司からそうなって欲しいと思われているであろう本講義の参加者に向けて、激励の挨拶がありました。「鈴木先生から多くの情報を吸収して、『新しい乳化処方を作ろう!』という情熱を持って帰ってもらいたい」という言葉が印象に残りました。参加者の一人としてより一層参加意欲が湧きました。
講演テーマは、「乳化・可溶化講座」-化粧品開発のための乳化・可溶化と実用系への応用-で、処方開発者だけでなく、化粧品原料に関わる私にとっても有意義な内容でした。 
午前中は「エマルションの基礎と乳化・可溶化のための界面活性剤基礎知識」についての講義で、乳化理論から調製法、可溶化に関する基礎、適切な乳化剤選択(HLB法による乳化条件の選択)など、乳化・可溶化の基礎的なお話しをわかりやすく、しっかりと教えていただき、いろいろなことが再確認できました。
午後からは、まず相図の読み方について説明があり、相図が読めると良い事ばかりという説明がありました。具体的には、①乳化、可溶化の理解が容易になる。②適切な乳化条件、機構を知る事が出来る。③特徴ある製品開発に応用できる等、私もすっかり聞き入り今までモヤモヤとしていたものが少し晴れたような気がして、すっきりしました。続いて、乳化の重要ポイントの説明があり、液晶、D相乳化による微細化エマルションとゲルエマルション、更にマイクロエマルションからナノエマルション調製のポイントについての説明がありました。内容はとても盛り沢山で、処方開発時に価値を付与するための秘策も教えてくださいました。αゲルの安定化と保湿エマルションへの応用、高内相比W/Oエマルションの調整と安定化、さらに三相乳化エマルション等、改めて乳化・可溶化について幅広く理解できる内容でした。
講義の締めくくりは、鈴木先生ご自身がかつて開発された製品や処方開発時の失敗例、失敗から生まれた持続性の高いUVケア製品などのお話しがあり、とても興味深く、実際の処方開発の奥深さを感じました。
最後のセッションでは、前もって受講者から寄せられた質問の中から選ばれた実践的な疑問に答えてもらうオープンディスカッションが行われました。処方開発時の乳化・可溶化剤の選択ポイントや無機塩、高分子配合の注意点又、マイクロエマルションとナノエマルションの違い等、ファシリテータの前山部員とのやりとりで、より分かりやすく聞けました、うっすら分かっている気になっていたことがしっかり理解できたことは大きな収穫であったと思います。最後に鈴木先生から「良い製品開発を行う為には、出来るだけ失敗してみる事が重要です!」という貴重なアドバイスがありました。とても深い一言でした。
一日の講義が終了したあと、なんと!質問コーナーが設けられ、20名以上の参加者が個別に鈴木先生からアドバイスをもらうために列ができていました。鈴木先生と技術講習部会の方々が、1時間にわたって丁寧に対応された事に感銘を受けました。同時に乳化・可溶化について参加者の興味と悩みが大きいことが再認識できました。

私は、これまで乳化は難しい分野と思っていましたが、今回、鈴木先生の講演を初めて拝聴し、その考えが大きく変わりました。盛りだくさんの内容を写真や図解でわかり易くご説明頂いたことで、理解がし易かったのだと思います。来年も鈴木先生の講義があるようでしたら、より良い化粧品づくりを目指し、できるだけ多くの化粧品技術者の方が参加されると良いと思いました。
最後になりましたが、今回の化粧品技術専門講習会を主催頂きました、西日本支部の化粧品技術講習部会の皆様のご尽力に感謝いたします。
日本化粧品技術者会 広報委員 田中 徳文(㈱マツモト交商)