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第210回講演会(西日本支部)

第210回講演会を2019年10月31日(木)、大阪国際交流センター・小ホールにて開催いたしました。
 
1題目は、株式会社エスキース 代表 伊藤透先生より、『「美を創造する」化粧品パッケージデザイン』と題して、化粧品におけるパッケージデザインの役割、デザイン開発の実際についてご講演いただきました。
伊藤先生は、株式会社資生堂で化粧品のパッケージデザインに従事された後、フランスのカレ・ノアール社にて化粧品の他にもリュック・調理器具・ゴルフのパターなどのデザインも手掛けられ、幅広くご活躍されています。現在は、日本で株式会社エスキースを設立され、化粧品やアルコール飲料などのパッケージデザインを手がけるとともに、パッケージデザインの普及啓蒙活動やデザイン教育にも携わっておられます。
講演では、伊藤先生が実際にデザインされた商品をスライドで拝見しながら、時代背景などを交えて楽しくご説明頂きました。
また、化粧品におけるデザインの役割とは、企業と人との関係性をつなぐものであり、デザイナーは消費者の潜在ニーズを汲み取って「美」を具現化し商品にすることで、企業と人との架け橋のような役割を果たしているとのことでした。
 
化粧品におけるデザインの役割
企業                     デザイン                 人
研究開発、サービス、企業理念         「美」を具現化する、商品         美へのあこがれ・夢・期待・顕在ニーズ
                                            ・潜在ニーズ

デザインが提供すること
感性価値                   機能価値                 ブランド価値
色、形、質感、グラフィック、たたずまい、   わかりやすさ、開けやすさ、使いやすさ、  ロゴ、アイコン、製品イメージ、コミュニ
存在感、高級感、効果感            捨てやすさ                ケーション、無二の体験

化粧品のパッケージデザインは、多くの要素を含んで設計されていて、お客様に商品のメッセージを伝えているということを改めて学ぶ良い機会となりました。

2題目は、日野クリニック 皮膚科・アレルギー科 名誉院長 小塚 雄民 先生より『皮膚科医からみた化粧品の安全性』と題して、化粧品・医薬部外品による健康被害について、お話ししていただきました。はじめに、12個の事例をご説明いただき、さらに、ご自身が関与されました女子顔面黒皮症やコムギ依存性運動誘発性アナフィラクシー、ロドデノール含有化粧品による白斑について、より詳しくお話しいただきました。
化粧品の健康被害は、技術の進歩した近年においても、発生しているのが現状です。本ご講演で、お客様に安心してご使用いただける化粧品について、改めて考える機会をいただくことができました。
 
■接触皮膚炎
・光線の関与(-)には、刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎があり、多くは、刺激性接触皮膚炎です。
・アレルギー性接触皮膚炎は、近年、貼付試験の進歩や分析技術の導入、動物実験の進歩により、迅速な原因物質の特定が可能になりました。化粧品の場合、メーカーが限定されるので、メーカーの協力も得ることもできます。
・歯磨きによる接触口唇炎の患者様についての体験をお話しいただきました。長年口唇炎で悩まれている患者様に、歯磨きに配合されている数種の香料で、パッチテストを行い、香料の原料のl-Carvoneが原因であることを見つけ出されました。その結果より、患者様は、l-Carvoneが微量に添加されている歯磨きを使用することで、回復されました。
・口紅による接触口唇炎の患者様について、ヒマシ油の成分のricinoleic acidが原因であることがパッチテストにより、判明しました。また、当患者様は、類似の構造の、12 hydroxy stearic acid、oleic acid、12 hydroxy stearyl alcoholについては、パッチテスト陰性という結果を示しました。
・Indigocarmine(青色2号)によるアレルギー性接触眼瞼炎の患者様について、お話しいただきました。Indigoを合成(スルホン化)すると、室温ではIndigomonosulfonate、高温ではIndigocarmineになります。Indigocarmineには、不純物が含有されていることが分かりました。
 
■女子顔面黒皮症
・第一次世界大戦直後の1917年にReihlが最初の報告を行ったことから、リール黒皮症と称されました。1960年代に日本中で多発しました。
・患者様に、Sudan 1(1-Phenylazo-2-naphthol)と赤色219号を、ハッチテストで比較すると、Sudan 1より強い陽性反応がありました。
・Sudan 1は、アニリンと2-Naphtholの化合物であり、赤色219号の不純物になります。
・日本化粧品工業連合会は、昭和52年5月9日付文書により、赤色219号および黄色204号を爪用および頭髪用以外の化粧品への配合を自粛することを連絡しました。
・厚生省は、平成12年9月29日付厚生省告示により、「化粧品基準」において、赤色219号および黄色204号は、爪用および頭髪用化粧品のみ配合を認めました。
・医薬品等に使用することのできる色素80種のうち、Sudan 1同様、2-Naphthol由来のアゾ色素は21種あります。
 
■コムギ依存性運動誘発性アナフィラクシー
・化粧品中のタンパク加水分解物の安全性に関する特別委員会は、2011年10月11日付で、茶のしずく石鹸等に含まれた加水分解コムギによる即時型コムギアレルギーの診断基準を作成しました。
・日本化粧品工業連合会は、平成23年8月26日付専務理事名文書により、①加水分解コムギ末のうち、酸分解で製造した分子量5万~6万のものの配合を禁止、②企業責任のもとで製造する制度で絵あることを再確認すること、等を連絡しました。
・厚生労働省は、平成23年9月9日付課長通知により、加水分解コムギ末だけでなく、加水分解コムギ由来成分を配合する医薬部外品・化粧品について、成分表示(小麦などと記載されていない場合「小麦由来」などと記載する)および注意表示の記載を求めました。
 
■ロドデノール含有化粧品による白斑
・2008年9月、ロドデノール配合医薬部外品、発売。
 2013年5月、ロドデノール配合化粧品で白斑を生じた3例の報告。
 2013年7月、ロドデノール配合39製品の自主回収回。
・使用者数、約80万人。白斑患者数、19,593名(2.4%)。そのうち完治・ほぼ回復、11,936名。(日皮会紙:2017年)
・ロドデノールによる白斑について、1998年には、職業性白斑症例として、産業医学ジャーナルに報告されていました。
・日本化粧品工業連合会は、平成26年5月30日付会長名文書「『化粧品の使用上の注意事項の表示自主基準』の一部改正について」により、白斑に対する文章の追加をすることを新たな自主基準としました。
 
■化粧品等皮膚安全性症例情報ネットのご紹介
 医学界と産業界の連携により、化粧品等による国民の皮膚健康被害を早期に発見し、これを最小化することを通じ、我が国をより安全で安心な国とすることを目的とする情報サイト。
http://info.sscinet.or.jp/
 
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