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中毒疹 [dermatitis toxica]

体内の諸器官の異常により生成された物質や生体に有害な食物・薬剤などの物質が体内に入ったさい、また細菌、ウイルスなどの全身感染によって皮膚・粘膜に現れる発疹を中毒疹と総称する.すなわち、原因が比較的不明瞭である全身性発疹を生じた場合に便宜上用いられており、発疹の形態もさまざまである.しかし、実際には麻疹(はしか)などの発疹を伴う疾患の場合などは中毒疹としてでなく、それぞれの疾患の一症状として扱われる.よって中毒疹としての疾患名には、感染症などの合併する疾患を伴わない.また、医療機関で処方・投薬された薬剤によって発疹が生じたさいに、原因がその薬剤であると立証されない場合に、医療過誤のトラブルを避けるため中毒疹とよぶこともある.さらに、薬物のもつ薬理作用として説明できそうな皮疹を示すことも多い.類義語に薬疹があるが、これは原因が薬物と明確な場合のよび名である.中毒疹は処方された薬剤の過剰摂取、遺伝的な体質で薬物代謝系などに異常があり少量でも過剰に反応してしまう場合、ほかの薬剤との相互作用による場合に見られる.(針谷毅)

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