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PRTR [Pollutant Release and Transfer Register]

PRTR(環境汚染物質排出移動登録)とは、有害な化学物質が、どのような発生源から、どのくらい環境中に排出されたか、または廃棄物に含まれて、事業所の外にどのくらい出されたかというデータを把握し、集計、公表するしくみである.化学物質の管理の改善と環境の保全上の支障の未然防止を目的としており、日本では、1999年に“特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)”により制度化された.PRTR法が制定された背景には、国際的にPRTRの重要性が認識されているということがあった.たとえば、1992年の国連環境会議(地球サミット)での、持続可能な開発のための行動計画である“アジェンダ21”では、“化学物質のリスクについて広く認識することが化学物質の安全性の確保に欠かせない”という考えのもと、PRTRを“情報の伝達・交換を通じた化学物質の管理”あるいは“化学物質のライフサイクル全体を考慮に入れたリスク削減の手法”と位置づけ、政府は国際機関や産業界と協力してこのようなシステムを充実すべきであるとしている.また、世界の化学製品の大部分を生産する先進工業国が加盟している経済開発機構(OECD)では、地球サミット以後、PRTRの加盟国への普及に努力してきた.そして、1996年に、加盟国がPRTRの導入に取り組むよう理事会勧告を出した.わが国では1999年に法律が制定された.化粧品原料の中で該当するおもなものとしては、染毛剤に使用されている染料前駆体であるρ-フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数が12〜15までのものおよびその混合物)、高分子類の出発原料であるアクリル酸などのモノマー類などがある.(植原計一)

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