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酸化劣化 [oxidative deterioratation]

空気中の酸素との接触により起こる酸化反応の結果、変臭、変色、変質する現象.油脂ろうなどにみられる.料理に使った油が徐々に色が濃くなり、油特有の臭いがするのは酸化劣化の身近な例である.要因には、日光、温度、湿度などがあげられ、それらが重なり合って起こるのが普通である.日光は酸化作用を活性化し、温度や湿度は高いほど反応が促進される.とくに高い湿度で酸素がある場合には反応は加速度的に促進される.また、金属および塩類の触媒作用、バニリンなどの香料やクロロフィルなどの色素にも酸化劣化の促進作用がある.化粧品に使われる原料中にもこの作用を受けるものがあり、オリーブ油やつばき油などはその例である.また、比較的汎用されているラノリンもその一つで、空気中の酸素に接することにより比較的速く酸化される.酸化され劣化されると吸水性が低下し、皮膚の保護作用も劣ってくる.とくにメークアップ化粧品のように無機顔料(酸化鉄など)が共存すると酸化作用は促進され、皮膚でののびが悪くなる.とくに油性の化粧品では、酸化劣化が起こらないかを調べるために自動油脂安定性試験装置を用いた試験がある.これは高温にして溶融状態のサンプルに空気を送り込み、一定時間内で基準以上に酸化されないかを確認するものである.酸化作用をおさえるものとして抗酸化剤が配合されることが多い.抗酸化剤は酸化反応中の活性物質と反応して不活性物質を形成し、一連の酸化反応を止める役割を果たしている.化粧品では安全性、安定性、持続性、そして製品が経日で着色しないことが重視され、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)やそれ自身が酸化されやすいビタミンE*などが汎用される.(南孝司)

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