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アロマコロジー [aromachology]

アロマテラピーは精油を中心にし、いままでの経験的、伝承的な効果に立脚したものであるのに対して、アロマコロジーは精油に限らず、香料全般の有用性を科学的に実証する“香りの生理心理的効果の研究成果”に支えられて健康で快適に豊かな生活を送るために、広く香りの効果を生かそうという、“香りの活用術”をさしていう.アロマコロジーとは、芳香を意味する“アロマ(aroma)”と、生理心理学を意味する“フィジオ・サイコロジー(physio-psychology)”をあわせた造語である.化粧品や医薬部外品は薬事法によって定義されているが、医薬品のように“治療”を目的とすることは厳しく禁止されている.化粧品は人のからだを清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、健やかに保つことを目的にしている.したがって、化粧品や医薬部外品においては治療という言葉を使用したり、あるいは想起させることは薬事法違反として指摘されることになる.アロマテラピーのテラピーは療法を意味するtherapyであることから、どうしても治療という面が前面に出てしまい、化粧品分野でこの言葉を使用することは躊躇(ちゅうちょ)されていたことから新しい“香りの活用術”を代表する言葉が求められ、この結果、誕生したのがアロマコロジーである.従来のアロマテラピーは精油の香りをかぐだけで心身によい影響が出てくるといわれていたが、この心理的生理的効果を科学的に評価、測定することで、香りの効果を実証したものをアロマコロジーと区別しているのである.アロマコロジー効果の評価方法①心理質問紙を使用して、香りをかいだときの印象や気分の変化を測定してリラックス度などを測定する方法②閉眼安静時に出現するa波や、活動時のb波を測定して脳の活動状態と香りの関係を明らかにする方法③眠気や目が覚めた状態など意識の覚醒水準と香りとの関係を明らかにする方法④香りをかいだときに活動している脳の部位を調べる方法⑤心拍数や血圧などを測定して香り提示による影響を調べる方法⑥唾液中などのコルチゾールカテコールアミン濃度を測定して香りとストレスや緊張状態との関連を調べる方法⑦分泌型免疫グロブリン(Ig)Aや免疫細胞活性を測定することにより、ストレスと香りの関係を明らかにする方法などが提案されている.(浅越亨、奥田剛弘)

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