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セット力 [setting ability]

ヘアスタイリング剤はヘアスタイルを整え、固定し、またそのつくり上げたスタイルを持続させる目的で用いられるが、セット力は、ヘアスタイリング剤がもつこれらの機能のうち、ヘアスタイルを固定する能力をはかる指標となるものである.
ヘアスタイリング剤にはセット力を付与するために、さまざまな成分が配合されるが、たとえばヘアスプレーやヘアムース®、ヘアジェルなどには高分子セット樹脂が配合されるのが一般的である.これらの製品は毛髪に塗布して乾燥させるとカリッと固い仕上がり感が得られ、これがセット力として認知される.またヘアワックス、ヘアリキッドなどの場合は、ワックス(ろう)や油分が配合されるのが一般的で、これらの製品は毛髪に塗布しても固化しにくく、毛髪表面に付着した状態で髪型を整え、その形状が維持される.これがヘアワックスなどのセット力である.
セット力を評価する手法として絶対的なものはないが、よく行われているのは次のようなものである.
(1)毛髪の毛束をおすセット力試験法
試験しようとするヘアスタイリング剤を毛束に均一に塗布し、乾燥させる.その毛束に垂直方向から一定の力を加え、変形量を測定して評価するもの(図).値が小さいほどヘアスタイリング剤としてのセット力が高いといえる.
(2)毛束のカールを圧縮するセット力試験法
試験しようとするヘアスタイリング剤を毛束に均一に塗布し、カーラーに巻きつけ、乾燥後カーラーを取り外す.こうしてできたカールに圧力をかけてつぶしていき、そのときの反発力を測定して評価するもの.この値が大きいほどヘアスタイリング剤としてのセット力が高いといえる.
これらの試験で数種類のセット力を比較したい場合には、ほかの試験法と同様に使用する毛束の品質をできるだけ均質にすることが重要である.なるべく同じヒトから採取した毛髪であること、太さ、量、毛髪の向きがそろっていることが望ましい.なお、これらの方法はヘアスプレーなど高分子セット樹脂が配合された製品を評価するのには適しているが、ヘアワックスなどワックスや油分によってセット力を保持している製品には不向きである.(飯塚直美、植村雅明)

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