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代替試験 [alternative test]

安全性試験を実施するさい、実験材料として哺乳動物以外の生物または非生物を用いて行う試験のこと.動物実験代替法ともいう.これはもともと動物愛護の精神から生まれてきたものであるが、動物実験よりも客観的な判断ができるという点や経済的であるなど利点はあるものの、現段階では動物実験に完全に置き換えるまでには至っていない.そこで実際には三つのR(replacement:完全にほかのもので置き換える、reduction:使用する実験動物数を削減する、refinement:実験動物の苦痛を軽減する)を代替法の原則として提唱し、これを目指した試験が行われており、化粧品業界においても、化粧品原料や製品の研究開発および安全性の評価試験などに、積極的に取り組んでいる.現在、研究がもっとも進んでいるのは、試験物質が眼に入ったときの刺激性の評価をウサギの眼を使って行う眼粘膜刺激性試験、いわゆるドレイズテストの代替法である.この試験法の代替法として研究され、日本で有用性が確認されたものは、鶏卵を用いる試験(CAM試験)、赤血球の溶血性を指標とする試験、タンパク質変性を指標とする試験、細胞毒性試験、人工皮膚モデルを用いた試験、無生物を用いた試験などである.これらの方法は、試験操作や取り扱い方、試験する物質による結果のばらつき、入手方法や材料の購入価格などが一長一短で、動物実験の結果との相関性や再現性もさまざまであったが、複数の施設で検討した結果、代替法として十分活用していけることがわかった.これを受けて、各化粧品メーカーでは、原料や製品のスクリーニングなどに数種類の試験を組み合わせて用いている.このほかには、化学物質の毒性の基準を把握するために概略の致死量(LD50)を求める急性毒性試験や、化学物質のもつアレルギー性を判断するアレルギー性評価試験法(感作性試験)についての試験が検討されている.(鈴木惠子)

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