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脱色剤 [hair breach]

毛髪内のメラニン色素を分解して髪の色を明るくすることを脱色といい、脱色に使われる薬剤を脱色剤(ヘアブリーチ、ヘアライトナー)という.メラニン色素は毛髪のコルテックス(毛皮質)に分布しており、黒褐色〜黒色のユウメラニンと黄色〜赤褐色のフェオメラニンとがあって、その総量と種類によって金髪から黒髪までさまざまに髪色を決定している.脱色ではこのメラニン色素が過酸化水素の解離によって生じたペルヒドロキシアニオン(HO2−)によって分解され、メラニンの色が消滅することで髪色が明るくなるが、詳細な機構はまだ解明されていない.日本では1990年中ごろから若者を中心とした、いわゆる茶髪(ちゃぱつ)ブームを発端として広く認知されるようになった.また、より明るく鮮やかな色に髪を染めるさいの前処理として行われることもある.分類脱色剤はおもにその商品構成と効果から次の3種類に分類される.
(1)1剤式脱色剤
酸化剤である過酸化水素を主成分としており、その酸化作用で髪を脱色する.効果は弱く、一度の使用で一気に髪を明るくすることはできないが、逆に徐々に髪色を変えていく目的で使用される.商品形態としてはミストやムース状がある.
(2)2剤式脱色剤
アンモニア、モノエタノールアミンなどのアルカリ剤を配合した1剤と過酸化水素などの酸化剤を配合した2剤とを、使用直前に混合して使用する.アルカリ剤により毛髪が膨潤するとともに過酸化水素が毛髪中に浸透し、毛髪のメラニン色素を分解し脱色する.アルカリ性の条件では毛髪への薬剤の浸透、過酸化水素の分解などの反応が速く進むことから、1回の使用で髪を十分明るくすることができる.商品形態としてはクリーム状や液状がある.
(3)3剤式脱色剤
脱色力をさらに高めたものでハイブリーチという.これは前述の2剤式の脱色剤にブースターと称する酸化促進剤(過硫酸アンモニウムなどの無機過硫酸塩類)を加えたもので、1回の使用だけでかなり髪を明るくすることができる.若年層を中心としたカラーリングの普及とともに、より高い脱色力が求められるようになったことから開発された.

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