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調合香料 [fragrance compound]

ある特定の香りを創作するために香料素材を、調香技術によってバランスよくブレンドしたもの.調合香料の構成トップノートミドルノートベースノートからできている(表1).調合香料を創作する場合、その出発はさまざまである.印象に残る芸術作品や風景に心を動かされる、新しい香水の作品や新しい香料素材との出会い、得意先の顧客の要望に応じてなど、いずれの場合にせよ、まずインスピレーションとイマジネーションを働かせることから始まる.そのイメージに従って、各ノートに何をもってくるかを選定し、役割とバランス、調和などを考慮し、オリジナリティーのある、かぐ人の心に訴えかける香りを創作する.
手順の一例をあげると、まず香りの基本となるベースノートとミドルノートをつくる.次に、香水瓶を開けたとき香るトップノートを加え、さらに香りに変化を与えるアクセントやモディファイヤー(変化をもたらせる香料)を加える.揮発速度を整えるため保留剤を加え、最初から最後まで美しく香る香料が設計される.
調合香料の香りのタイプ
化粧品やトイレタリーに賦香されている香りの種類のこと.香調ともいう.調合香料の香りのタイプは、香りを構成する素材の香りのことで、通常“ノート(note)”と表現される(表2).(→香りのタイプ)香水、オーデコロンのほかに、制汗剤、デオドラント化粧品、シャンプー、リンス、石けん、ボディシャンプーなどの香りについて簡単に触れる.これらの香りをつくるとき、大切なことはそれぞれの商品基剤の中で安定であることと、最終製品にふさわしくなるようにそれぞれの商品らしさを出すことである.石けんの香りは石けんらしく、シャンプーはシャンプーらしく表2の素材を使って新しい香りを創作する.フレグランス化粧品、なかでも香水、オーデコロンの香りを最終製品に応用する場合は、日本人の嗜好性がいい香調(表3)を、その商品にふさわしく創作し、なおかつ価格を安くつくり変える.この作業をトリクルダウンとよぶ.トリクルダウンとは、その文字どおり上から下へと滴り落ちることである(浅越亨、武井英里子)

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