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透明エマルション [transparent emulsion]

互いに溶け合わない2液相の一方が他方に微細な液滴となって分散した系で、一般に、白色の外観をもつエマルションにおいて透明な外観をもつもの.透明になる条件としては、屈折率と粒子径の二つの要素がある.通常、エマルションでは油相と水相の屈折率が異なるため、光が乳化粒子と連続相との界面で散乱されて、不透明となっているが、透明エマルションでは、連続層と分散相との屈折率が非常に接近しているために光が透過し、通常の大きさのエマルション(粒子径が数〜数十μm)でも透明となる.つくり出す手段としては、水相中にグリセリンのような溶剤を加えて油相との屈折率を近づける方法がある.また、油相と水相の屈折率差はあっても、乳化粒子径が光の波長より十分小さくなるとエマルションは半透明から透明となる.ただし、微細な粒子径(数〜100 nm)のエマルションは、通常ミクロエマルションとよばれ、熱力学的に安定な1相系であり、熱力学的に不安定なエマルション(2相系)とは異なる.なお、透明エマルションは、保湿化粧品やメーク落としなどのクレンジング化粧品に応用されているが、外観からはゲル(ジェル)や液晶系との区別は困難である.(鈴木敏幸)

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