LIBRARY ライブラリー

特定病原菌 [specific pathogen]

化粧品から検出されてはいけないとされる病原微生物の総称.日本化粧品工業連合会が自主基準としてまとめた“化粧品の製造及び品質管理に関する技術指針”(いわゆる化粧品GMP)の中で規定されており、大腸菌群(主としてEscherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、サルモネラ(Salmonella)の4種が指定されている.これらの病原細菌は、過去に製品から検出された報告が多いことやヒトに健康被害を及ぼした報告があるという理由から選択されたもので、製品への混入に注意すべきものとして自主的に規制されている.大腸菌群、サルモネラおよび黄色ブドウ球菌は、食中毒の原因菌として知られている.これらは菌体内で毒素を産生し、ヒトに中毒症状を引き起こす.なかでも黄色ブドウ球菌の毒素は耐熱性が強く、熱殺菌によって菌体が死滅しても毒素の活性は失われず、中毒を引き起こす.緑膿菌は代表的な日和見感染症の原因菌であるが、この菌で汚染された目元化粧品を使用した消費者が失明したという重篤な事故が海外で報告されている.これら特定病原菌の検出は、日本薬局方に収載の微生物限度試験法の特定微生物試験に準じて行われるのが一般的である.試験は、①対象菌の増菌培養、②選択培地での生育性確認、③グラム染色性の確認、④生化学反応の確認、のステップで行われ、これらの結果から総合的に判断して特定病原菌かどうかが決定される.(中島靖夫)

用語検索

索引