LIBRARY ライブラリー

曇点(どんてん) [cloud point]

親水基として酸化エチレンが付加した非イオン性界面活性剤水溶液を加熱昇温していくと、ある温度で溶液の透明性が低下し、白く濁り始める.この温度を曇点、あるいは曇り点とよぶ.これは温度の上昇とともに界面活性剤の親水性が低下し、分子が凝集した無限会合体が形成されて相分離が生じたものである.界面活性剤の親水基である酸化エチレン鎖(−CH2CH2O−)は、水溶液中では酸素原子を効率よく外側に向け、水分子と水素結合をして溶解している(図).溶液の温度が上昇すると、親水基の構造はジグザグとなり、水素結合性が弱まって水に溶解できなくなる.一般に、親水性の強い界面活性剤ほど高い曇点をもつ.また、曇点は塩や水溶性溶剤により影響を受ける.エタノールや2価のアルコールであるジオール類は曇点を高め、グリセリンソルビトールなどの3価以上のポリオールは曇点を低下させる.曇点付近では、界面活性剤の会合数が増加するとともに、可溶化能が向上する.(鈴木敏幸)

用語検索

索引