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イランイラン油 [ylang ylang oil]

バンレイシ科イランイラン(Cananga odorata Hook. f. et Thomson genuia)の花から水蒸気蒸留法で得られる精油.溶剤抽出法によるアブソリュートもあるが、水蒸気蒸留法のものが一般的である.イランイランはマレーシア語で“花の中の花”という意味をもち、コモロ諸島がおもな産地である.生花100 kgから2 kg程度のオイルが採取される.品質のグレードとして、留出順序で四つに区分されるが、最初に留出されるエキストラとよばれる部分が、香気的に最高の品質である.つづいて留出順に、ファースト、セカンド、サードとよばれる.イランイラン油はフローラルブーケ調をはじめさまざまな調合香料に用いられ、華やかな花香調のトップノートを与える.おもな香気成分はp-クレジルメチルエーテルである.最高の香りのエキストラには、エステル、エーテル、フェノール類が多く含まれる.イランイラン油と同様の香気をもつものにカナンガ油がある.これはおもにインドネシア産のカナンガ(Cananga odorata Hook. f. et Thomson macrophylla)から採油される.イランイランに比べて香気が劣るが、比較的廉価のため石けん用香料に使われる.(大森祥弘)

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