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ヒドロキシ酸 [hydroxy acid]

1分子中にカルボキシル基(-COOH)とアルコール性ヒドロキシル基(-OH)とをもつ有機化合物の総称.オキシ酸、ヒドロキシカルボン酸、オキシカルボン酸ともよばれる.おもに、乳酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、トロパ酸、ベンジル酸などがあり、アルコールとカルボン酸の性質を両方もち合わせている.ヒドロキシ酸は、カルボキシル基とヒドロキシル基の相対的位置によって分類される.カルボキシル基が結合している炭素原子を基準にして、ヒドロキシル基がこの原子に結合しているものをα-ヒドロキシ酸、ヒドロキシル基がその隣の炭素原子に結合しているものをβ-ヒドロキシ酸とよび、以下γ-ヒドロキシ酸、δ-ヒドロキシ酸と順次よばれる.(三部晶子)
α-ヒドロキシ酸(α-hydroxy acid)
AHA(アハ)と略称され、乳酸や酒石酸(ブドウ酸)、リンゴ酸などのα-オキシカルボン酸の通称.AHAはフルーツ、ワイン、サワーミルクなどに含まれており、古くからスキンケアのために使用されてきた.エジプトでは、サワーミルクの風呂に入ると皮膚が健康的で美しくなるとして好まれ、フランスでは、皮膚をなめらかにするために、古くなったワインで洗顔をしていたといわれている.AHAは、具体的にはグリコール酸や乳酸が主で、角層表面のデスモソームを分解したり、不要な角層を剥離させることが報告されている.国内のエステティックや美容外科、皮膚科などで広く行われている角層を剥離し、新しい皮膚の再生を促すというケミカルピーリングの普及に伴い、よく知られるようになってきた.しかしながら、肌を傷めないように使用にあたってはAHAの濃度(10%以下)や酸性度(pH)に注意が必要であり、角層剥離により角層や表皮がもつ本来のバリア機能や水分保持機能が低下するので、術前術後の適切な処置を欠くとトラブルも多くなる.トリクロール酢酸(TCA)やフェノールのようにケミカルピーリング剤ほど深部まではがさないので、しわ改善までは期待できないが、角栓除去が重要なにきび治療に効果がある物質もある.(江浜律子、三部晶子)

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