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角栓 [pore-clogging matter]

毛包漏斗部(→毛包)の表皮組織が角化亢進(→角化)を起こし、角層が剥離しにくくなって堆積し、厚く強固になったもの.角栓はにきびの発生過程においてもっとも初期の毛穴詰まりの原因となり、皮脂の排泄を阻害し面皰*(めんぽう)形成を引き起こす.角化亢進の原因としては、ホルモン、とくに男性ホルモンや甲状腺ホルモンによる角化の促進、皮脂の脂肪酸組成の変化、紫外線や機械的な刺激などの複合的な関与が考えられる.角化が亢進する部位は、以前は毛包漏斗末端部(上部)と考えられていたが、毛包漏斗下部とよばれる部分から生じることが確認された.毛包漏斗末端部では表皮の角層と同じように角化をするが、毛包漏斗下部の上皮ではより角化しやすく、顆粒層が少なくケラトヒアリン顆粒も少ないため、硬くて固着性も強く剥離しにくい.このため毛包漏斗下部の上皮は、硬化しやすく毛包の狭窄(きょうさく)が生じやすいと考えられている.角栓の形成予防、除去は、面皰形成やにきびの予防として重要かつ有効と考えられる.その方法として、毛穴の詰まりに対してはピールオフパックによる角栓除去が有効であるが、はがすさいの皮膚に対する物理的な刺激も強いので頻繁に使用するのは避けたほうがよい.そのほか、美容皮膚科では最近ケミカルピーリングといわれる方法が行われるが、これはグリコール酸などの角層剥離作用のある化合物を皮膚に塗布し、毛穴周囲の厚くなった角層を除去することで毛穴が開放され詰まった皮脂を除去しやすくするものである.また、角層柔軟化・角層剥離促進作用をもつサリチル酸硫黄、レゾルシン(レゾルシノール)などを含有する医薬品、医薬部外品などがある.日常的に洗顔を励行することは有効であるが、そのさい、過剰や過多な洗顔を避けるとともに、石けんなど洗浄力のマイルドなものを使用することが望ましい.また、洗顔後は皮膚の乾燥による角化異常を防ぐため、化粧水などによる適切な水分の補給と維持が必要である.(北村謙始)

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