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免疫系 [immune system]

体外から侵入した異物や体内で生じた変異細胞などを、自己以外のものと認識して排除し、自己としての恒常性を維持するよう努める生体防御システムのこと.感染や予防接種などにより後天的に獲得する獲得免疫と、獲得免疫によらない系統発生学的に古い先天性免疫とに分けられるが、一般に免疫といえば獲得免疫をいうことが多い.獲得免疫では、ウイルス、細菌、花粉など外来性の異物や変異細胞などの内因性異物(抗原)が体内で認識されるとそれに対する抗体がつくられる.抗体は抗原を記憶しているので、ふたたび同じ抗原が侵入すると、抗体は抗原に対し特異的に反応する.これを抗原抗体反応という.抗体は免疫グロブリン(Ig)というタンパク質からなり、獲得免疫を担うのは血液やリンパ液中のリンパ球(T細胞、B細胞)である.リンパ球は赤血球や白血球と同様、骨髄の造血組織でつくられる.先天性免疫は獲得免疫と異なり非特異的反応で、好中球や単球・マクロファージなどの貪食細胞、ナチュラルキラー細胞(NH細胞)などが担う.アレルギーは抗原抗体反応が過剰に機能して、生体に障害をもたらす現象であり、抗原に対する反応のタイプによりI型からIV型の四つに分類される.アレルギー性鼻炎、じんましん、喘息など大部分のアレルギー性疾患はI型で、免疫グロブリンのうちのIgEが皮膚や粘膜にあるマスト細胞や好塩基球と結合し、ヒスタミンを放出することで起こる.精神心理的なストレス刺激は視床下部から副腎皮質に伝達され、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加されるが、これが免疫機能の低下を引き起こすとされており、ストレスは免疫にも影響を与えている.太田母斑のような重度の色調トラブルを有した女性は、それ自体が非常なストレスであり、それを特殊なメークアップ化粧品などで完全にカバーできると、肯定的な心理が上昇するとともに、唾液中の免疫抗体であるs-IgAも上昇し、免疫学的に有用な変化をもたらす.また、好ましい香りを呈示することによってもs-IgAの上昇が認められる.このように化粧品は快適感や満足感といった心理的な効果だけでなく、からだに対しても免疫学的に有用な効果があることが示されている.(柴谷順一)

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