LIBRARY ライブラリー

凝集 [flocculation]

コロイド粒子が個々の粒子の形状を保ったまま集まって、少し隙間のある集合体となること.エマルションサスペンションのようなコロイド分散系が不安定になるときに、最初に起こる現象である.同種の粒子間にはロンドン-ファンデルワールス引力(VA)とよばれる引力がつねに働いている.一方、表面が荷電している粒子のまわりには電気二重層が形成され、粒子が接近すると静電的な反発ポテンシャル(反発力)VRが働く.粒子間に働く力が引力となるか反発力となるかは両者の和(VT=VR+VA)で示される(DLVO理論、→分散).凝集は粒子間に働らく反発力(図中の曲線で示すポテンシャルエネルギーの山、Vm)を越えて粒子どうしが衝突したときに生じる.静電的反発力が強ければエネルギー障壁Vmは、熱運動によるポテンシャルエネルギーkT(Tは絶対温度、kはボルツマン定数)に比べて十分に大きい(高い)ので凝集は生じない.これに対して、熱運動によるポテンシャルエネルギーkTがVmと同じ程度、あるいはVmがそれ以下になると粒子どうしは、反発のエネルギー障壁を越えて接触するため、凝集が起こる.(鈴木敏幸)

用語検索

索引