LIBRARY ライブラリー

刺激物質 [irritant]

皮膚に、十分な濃度で十分な時間接触した場合に、炎症が生じる可能性のある物質のこと.ただしこれは局所的な反応であり、全身性の反応であるアレルギーを生じさせる感作物質とは区別される.これまでに非常に多くの刺激物質の存在が知られており、接触した場合だれにでも紅斑、水疱、壊死、潰瘍などを生じさせる強酸、強アルカリのような強刺激物質から、通常多くの人には問題ない低刺激物質までその危険度はさまざまである.代表的なものとしては、酸、アルカリ、界面活性剤、油、有機溶媒、還元剤、動植物の一部などがあげられる.ある物質の刺激性ポテンシャルを評価するには、さまざまなプロセスを経る場合が多い.その物質のpH経皮吸収性といった物理化学的性質や類似化合物のデータから予測する試みが行われているが、こうした構造活性相関によるアプローチには十分な信頼性は得られていない.また、培養皮膚モデルなどを用いた細胞毒性試験もスクリーニングとしての活用が検討されている.動物やヒトの皮膚に直接塗布して調べる方法もあるが、その場合十分な予備試験および倫理的な厳しい管理が必要である.(→皮膚刺激)(足利太可雄)

用語検索

索引