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シャンプー [shampoo]

頭髪および頭皮の汚れを落とし、ふけ、かゆみをおさえ、頭髪、頭皮を清潔に保つための洗浄用化粧品.頭髪、頭皮の汚れには生理的に分泌される皮脂や垢(あか)、日常生活で付着する塵(ちり)や埃(ほこり)など、また使用したヘアスタイリング剤などがあり、これらの汚れをシャンプーに含まれる界面活性剤が洗髪中に包み込み、洗い落とす.最近は消費者のニーズが多様化し、洗浄という基本機能のほかに、コンディショニング効果やふけ防止効果を有するもの、髪質別、ヘアスタイル別、髪の仕上がり別などに適した数多くの製品が市場に出されている.
基本機能
シャンプーの基本的な機能として、①選択洗浄性に優れ必要な洗浄力を有すること、②きめが細かく、豊かな泡立ちを有すること、③すすぎやすく、洗髪中に髪がからまないこと、④洗髪後の頭髪に自然なつやを与え、まとまりやすいこと、⑤目や頭皮、頭髪に対する刺激が少なく、マイルドであること、がある.
配合成分
シャンプーの原料は起泡洗浄剤、起泡補助剤、コンディショニング剤*、その他の添加剤などに分類できる.
(1)起泡洗浄剤
洗浄性、起泡性を目的として、陰イオン性界面活性剤両性界面活性剤がおもに使用される.陰イオン性界面活性剤では、洗浄力や起泡力の高いポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどを配合する場合が多い.そのほかに刺激性の低い陰イオン性界面活性剤としてアミノ酸系活性剤のアシルグルタミン酸塩、アシルメチルタウリン塩などが使用されることもある.また、石けん、アルキルスルホコハク酸塩、アミドエーテル硫酸塩*などもあるが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムと併用される場合が多い.一方、両性界面活性剤にはアルキルイミダゾリウムベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルベタインなどがあり、いずれも低刺激で帯電防止効果がある.
(2)起泡補助剤
起泡洗浄剤だけでは増泡性や泡の細かさが十分ではない場合には、その補助を目的としてラウリン酸エタノールアミドやラウリルジメチルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤が配合される.
(3)コンディショニング剤
洗髪中およびすすぎ時の指通りをよくするために配合される.カチオン化セルロースなどの陽イオン性高分子が一般的で、シャンプー液を水で希釈すると陽イオン性高分子と界面活性剤の複合塩が析出して頭髪に付着し、洗髪中およびすすぎ時の指通りをよくする.
(4)その他の添加剤
油分としてエステル油、シリコーン油、高級アルコールなどがある.そのほか、保湿剤、増粘剤として水溶性高分子、香料、色素、さらに安定化剤として金属イオン封鎖剤*、防腐剤、pH調整剤、紫外線吸収剤などが、目的に応じて添加される.
種類
シャンプーには配合成分、外観、機能をなどからいろいろなよび方がある.おもなものを次にあげる.
(1)オイルシャンプー
洗髪後の仕上がり感の向上を目的としてエステル油などの油分を配合したもの.
(2)透明シャンプー
外観が透明なもの.洗浄力が比較的高く、洗髪後がさっぱり仕上がるタイプが多い.
(3)トニックシャンプー
メントール、カンファー(樟脳)などを配合し、頭皮に適度な清涼感、刺激感を付与するもの.
(4)ドライシャンプー
通常のシャンプーとは異なり、汚れを吸着できる粉体を毛髪に塗布し、ブラッシングなどで汚れを取り除くタイプのもの.アルコール水溶液のシャンプーがある.頭皮と髪全体にスプレーし、軽くマッサージした後、タオルなどでふきとるもので、水、非イオン性界面活性剤などからなる.外出時、入浴できないときに使用される場合が多い.
(5)パールシャンプー
外観上、真珠の光沢を付与したシャンプーで、高級感、マイルド感、クリーム感を与える.光沢付与剤としてはエチレングリコール脂肪酸エステルなどが使用される.
(6)ふけ取りシャンプー(薬用シャンプー)
ふけ、かゆみを防ぐ効果の高いシャンプーで、有効成分としてジンクピリチオン、オクトピロックス、二硫化セレンなどが配合されている.
シャンプーの仕方
シャンプーの仕方が悪いと、頭皮や毛髪を保護しているキューティクルを傷つけてしまう場合がある.健康な美しい髪を保つためには正しい手順でやさしく洗い上げることが大切である.
(1)シャンプー前のブラッシング
シャンプーをする前に洗髪ブラシ(クッションブラシ類)を用いて髪のもつれをほぐす.もつれたままでシャンプーすると、余分な力がかかりダメージの原因となる.長い髪の場合には毛先から始め、順に根元に向かっていたわるようにていねいにブラッシングする.また、シャンプー前のブラッシングはふけや埃(ほこり)を取り除くにも効果的である.
(2)シャンプー
あらかじめ湯で軽く汚れを洗い落とす.次に、適量のシャンプーを手にとり髪にのばしながら泡立てる.シャンプーの泡は、クッションの役割をし、髪と髪、髪と指の摩擦を和らげ毛髪に対するダメージを緩和するため十分に泡立てることがポイントである.洗髪中は、爪を立てず指の腹を使い、生え際から頭頂部へ向かって頭皮をやさしくマッサージするようにすると、洗い残しがなくすみずみまで気持ちよく洗える.とくに頭皮は、皮脂や汗で汚れやすくふけが出やすいので、時間をかけてよく洗うことが大切である.また、整髪剤が落ちにくい、あるいは汚れがひどい場合には二度洗いする.その場合、シャンプーの2回目の使用量は、1回目の半量が目安である.
(3)シャンプー後のすすぎ
シャンプー後はたっぷりの湯で十分すすぐ.すすぎが不十分でシャンプーが頭皮、頭髪に残っていると、ふけ、かゆみの原因となるだけでなく、髪につやがなくなる場合もある.とくに生え際や耳の後ろはシャンプー剤が残りやすいため、意識してていねいにすすぎ落とす.その後、リンスやトリートメントをして髪に水分や油分を補い、しなやかさ、なめらかさを与える.(中間康成、野河泰博)

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