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防腐剤 [preservative]

化粧品に防腐剤を配合するのは、化粧品を最後まで安全かつ快適に使用するためである.防腐剤を添加せずに化粧品をつくることはできるが、開封後、空中や手についた雑菌が混入することは必至で、それによる変質は避けられない.化粧品で使用できる防腐剤の種類としては、パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)を使用することがもっとも多く、そのほかに安息香酸ソルビン酸、デヒドロ酢酸など、食品保存料と同じ安全性の高いものが使われる.防腐剤を配合せずに化粧品をつくる場合には次のような注意が必要になる.まず、グリセリンアミノ酸ヒアルロン酸コラーゲン、ガム質、ビタミンなどの成分や、動植物系で分解しやすい油脂ろう界面活性剤などは、微生物が繁殖しやすいので使用を避ける必要がある.その上でさらに、微生物が化粧品の中で繁殖しにくいようにできるだけ酸性にしたり、アルコールを多めに配合するなど配慮が求められる.メークアップ化粧品では着色顔料や体質顔料、パフやブラシなどを滅菌して使用する、容器に微生物が入らないように逆止弁をつける場合もある.また、かつて化粧品に防腐剤が配合されなかったこともあるが、香料が防腐剤の役割を果たしていたからでもある.抗菌力を示す石灰酸係数でローズ油は7.0、ゼラニュウム油は6.5、ラベンダー油4.4、レモン油は3.8など強い抗菌力がある.しかし現在は、配合される香料の賦香率も減少し、配合成分も変化しているので、香料だけで防腐剤の代用をすることは難しい.(中島靖夫、中西紀元)

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