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水分保持力 [water holding capacity]

水分保持能ともいう.どの程度、水分を保持できるかという角層の能力をさす.乾燥した環境下においては角層に水分を与えても、そのまま放置しておくと時間とともに徐々に乾いてしまうが、その乾きやすさの程度は角層の状態によって異なり、水分保持力の高い角層では、長い時間にわたって角層水分量を高い状態に保つことができる.反対に、水分保持力の低い角層の場合には、角層水分量はすぐに低下してしまう.すなわち、角層水分量を長時間にわたって高い状態に維持するためには、角層の水分保持力を高めることが大切というわけである.角層の水分保持力には、天然保湿因子が大きく影響するが、そのほかにも角層におけるケラチンの構築状態や角層細胞間脂質も影響すると考えられている.角層の水分保持力を調べる方法として、水負荷試験がある.皮膚に水を塗布し、一定時間後にふきとり、恒温恒湿環境下(たとえば21 ℃、40〜60%相対湿度)において角層水分量をコンダクタンス(電気伝導度)などにより経時的にモニターする簡便な方法である.水分保持力の優れた皮膚では、角層水分量が長時間にわたって高値を示す(図).(平尾哲二)

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