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乳化物の分離 [separation of emulsion]

液体微粒子が、界面活性剤や機械力によってほかの液体中に分散している状態を乳化とよび、乳化によって得られる乳濁液をエマルション(乳化物)という.乳化物は熱力学的非平衡状態にあり、液体微粒子どうしの衝突を繰り返し、より安定な系に移行しようとする.その結果として起こる乳化物の破壊には、液滴が沈降または浮上するクリーミング現象、凝集合一、そして最終的に2種以上の液体が個々に層を形成してしまう分離などの諸現象を伴っている(→乳化破壊).乳化物の安定化をはかるためには、分散している液滴の衝突、合一などを阻止する必要があり、そのためには、液滴粒子を小さくして界面張力を低下させ乳化物を熱力学的に安定化させる、界面電気二重層の電位を高くして界面に強力な保護膜を形成させる、2層の液体の比重差を小さくするなどの操作が必要であり、乳化剤が安定化剤としての機能を発揮する.乳化物の安定化には乳化剤、水と油の割合、粘度、添加順序、かくはん方法、温度などが影響する.(今中宏真)

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