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乳化 [emulsification]

乳液やクリームのようなエマルションを生成させること.エマルションは油と水のように互いに溶け合わない液体の一方が、ほかの一方に微細な液滴(乳化粒子)として分散したもので、系のエネルギー状態は高く、熱力学的に不安定である.そのため、エマルションの生成には特別な工夫が必要となる.均一な溶液状態から、温度変化や溶解性に影響を与える溶媒の添加など、環境を変えることにより分散相である乳化粒子を生成させる凝集法と、分離した液相の塊に機械的エネルギーを加えて細かい粒子とする分散法があるが、いずれにしても、外からエネルギー(かくはんという機械的エネルギー)を加えなければならない(図).さらに、界面張力(界面自由エネルギー)を低下させるために乳化剤が用いられる.
乳化剤とその利用
乳化剤とは乳化に用いる界面活性剤のことである.油滴が水に分散した水中油(o/w)型と水滴が油に分散した油中水(w/o)型があるが、乳化剤が溶解する相が連続相になりやすい(バンクロフトの規則).また、乳化には、用いる油成分に適した親水性-親油性バランス(所要HLB)があるが、非イオン性界面活性剤の場合、さまざまなHLB値のものがあるほか、複数の界面活性剤の比率を変えてHLBを調整することができるため、乳化剤として広く用いられている.
乳化法
エマルションのような、エネルギー状態が高く不安定な分散系は、組成が同じでも調製方法により生成する状態が異なる.そのため、種々の乳化法が提案されており、現在のところ乳化剤の界面張力の低下能を利用する界面化学的方法と、乳化装置の機械的エネルギーを利用する機械的手法の両方が用いられている.また近年は、転相温度乳化D相乳化液晶乳化など、分子の高次会合体を用いて微細なエマルションを生成する乳化法が開発され、化粧品の製造に応用されている.(鈴木敏幸)

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