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光老化 [photoaging]

日光に含まれる紫外線の長年の暴露が原因となって、皮膚の老化がさらに加速される状態をいう.光加齢ともよぶ.これに対して、腹部や臀部(でんぶ)などの日光にほとんどさらされることのない被覆部の皮膚に生じる加齢変化を自然老化とよんでいる.日光にさらされることの多い顔面や首などは、紫外線の作用を大きく受けており、光老化が影響している皮膚である(次頁の表).
表皮の変化
自然老化皮膚では、ケラチノサイト(表皮角化細胞)の数や大きさの減少とこれに伴う表皮の厚さの減少、メラノサイトの数の減少とメラニン産生能の減退が見られ、これらの細胞の大きさや配列、メラニンの分布状態や大きさに不規則性が少ない.一方、光老化皮膚では、ケラチノサイトやメラノサイトの数、大きさ、配列やメラニンの分布などに不規則性がより大である.光老化におけるこうした不規則性は、傷害を受けたメラノサイトや一部ケラチノサイトへのメラニン授受の障害によると考えられている.とくに、そばかす(雀卵斑)では、大きく広がった樹枝状突起を多数もつ、ドーパ反応強陽性を示すメラノサイトの異常が観察される.また、ランゲルハンス細胞の数は自然老化においても減少するが、光老化ではより顕著である.
真皮の変化
自然老化では、グリコサミノグリカンの減少、線維芽細胞マスト細胞そのほかの細胞成分の減少ないし不活性化、毛細血管やリンパ管の減少、コラーゲン線維(膠原線維)の減少やエラスチン線維(弾性線維)の軽度増加などが観察される.一方、光老化では、これらと逆の変化がみられる現象もあり、とくにエラスチン線維の顕著な増加と変性、コラーゲン線維の著しい減少、線維芽細胞、マスト細胞などの細胞成分の増加、毛細血管やリンパ管の著しい減少と一部血管の異常拡大が認められている.(天野聡)

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