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ほてり [flush、 burn]

顔面やからだの皮膚が熱く感じられること.日焼けなどによる炎症性の皮膚反応によって血管が拡張し、紅斑が起こりほてりを感じるようになる.また、更年期には女性ホルモンの低下に起因するほてり、のぼせ症状がよく訴えられている.ほてりは愁訴や個人の感覚であり明確な定義やそのメカニズムは十分に確立されておらず、現象論をもって議論されることがほとんどである.しかしながら皮膚反応としては、血管拡張に由来することから紅斑と相同性があると考えられている.
紫外線による紅斑、ほてり
ほてりは血管拡張と血管の透過性の亢進によって起こると考えられるが、紫外線照射(とくにUVB領域)に伴う紅斑反応に関してはそのメカニズムが明らかになってきている.反応の初期にはメディエーターとしてヒスタミン、後期にはセロトニンやプロスタグランジンD2の関与が考えられている.また、インドメタシン投与により、紫外線によるほてりや紅斑が抑制されることから、アラキドン酸カスケードが発生メカニズムに重要と考えられている.紫外線照射によってケラチノサイト(表皮角化細胞)から多種のサイトカインが放出されることがよく知られており、早期(紫外線照射1〜6時間)にインターロイキン(IL)-1α、IL-1βが放出される.IL-1は好中球の遊走、各種接着因子の発現に関与しており、炎症性細胞の皮膚への浸潤誘導、ケラチノサイトの増殖やプロスタグランジンE2、IL-6の産生促進など多様な働きをもっている.これらの物質は次々に新しい炎症反応を引き起こす.また、後期(紫外線照射12〜72時間)には、IL-6の上昇がみられる.IL-6もT細胞の遊走や細胞障害性T細胞の活性化によって炎症反応に関与すると考えられている.なお、紫外線を浴びすぎたことによるほてりや紅斑を鎮めるには、冷却がもっとも有効である.また、炎症反応を鎮めるために、グリチルリチン酸などを配合したアフターサン化粧品もよく用いられている.
更年期によるほてり、のぼせ
紫外線によるほてりのほかにも、更年期によるほてり、のぼせはよく知られている.ホットフラッシュともいわれ、更年期における典型的な症状の一つである.更年期の卵巣機能の低下に伴う女性ホルモンの一つであるエストロゲンの減少によって内分泌環境に急激な変動が生じ、それが血管運動中枢に影響し、血管拡張を引き起こして発症すると考えられている.このような状態に対しては、最近、エストロゲンを黄体ホルモンとともに補うホルモン補充療法の有用性、有効性が話題となっている.(河野善行)

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