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ミネラルバランス [mineral balance]

生体の機能維持に不可欠なミネラルのバランス.イオンバランスともいう.ミネラルとは、生体構成分子のうち有機物質を構成する炭素、水素、酸素、窒素以外の元素からなる塩類や金属類(無機質)の総称であり、広義には鉱物、無機質をミネラルとよぶこともある.健康を維持するためには、毎日多種類のミネラル摂取が不可欠である.鉄分の不足が貧血を引き起こすことはよく知られているが、このほか、亜鉛不足から皮膚潰瘍、免疫反応の低下、性機能不全性こびと症が、銅不足から貧血、血漿コレステロール濃度の上昇が、それぞれ起こる.逆に、たとえば鉄を過剰摂取すると、皮膚の色素沈着や肝臓障害が起こり、銅の過剰は脳障害を起こす.生体内には、ミネラルバランスを保つメカニズムがあり、たとえば、細胞膜のナトリウムポンプがエネルギーを消費して細胞内のナトリウムイオンを細胞外にくみ出し、細胞内ではカリウムイオンが多く、細胞外にはナトリウムイオンが多い状態を維持している.もちろん、皮膚の健康維持にもミネラルバランスは重要で、皮膚表面の角層にマグネシウムイオン、顆粒層にカルシウムイオンが多く存在する状態が、皮膚のホメオスタシス(恒常性維持)に重要であることが報告されている.また、角層剥離(→角化)に関係する酵素バランス、すなわち、デスモソームの消化にカルシウムイオンが影響することも知られている.(土屋徹)

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