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レーザー治療 [laser therapy]

レーザーを使用して行う治療のこと.おもにしみ、あざの除去に用いられる.効果はもちろん治療痕が最小限におさえられるという面からも注目されている.原理レーザー治療は、AndersonとParrishの提案した選択的熱分解の理論によって飛躍的な進歩を遂げた.しみの治療を例にとると、①しみのもとであるメラノソームに吸収され、かつメラノソームが存在する部位まで到達する波長の光、②メラノソームの熱緩和時間よりも短い照射時間、③メラノソームを破壊するのに十分な照射エネルギー、という3者を満たすレーザーを使用することで、瘢痕を残すことなく治療できるというものである.治療対象とレーザーの種類レーザー治療では選択的熱分解の理論にのっとり、対象ごとにレーザーの機種を選定して治療が行われる.血管腫の治療には、オキシヘモグロビンとメラニンの吸収に差のある波長である585 nmと595 nmのダイレーザーが用いられる.しみの治療には、メラニンの吸収波長である694 nmのルビーレーザーや、755 nmのアレキサンドラライトレーザーが、さらに表層部のしみにはNd-YAG(ネオジウム・ヤグ)レーザーの高調波(532 nm)も用いられる.レーザーの照射時間は、熱エネルギーが対象となる組織にのみ作用し、周囲組織に熱拡散が起こらないという時間内にする必要がある.とくにしみについてはメラノソームの熱拡散時間がきわめて短いために、照射エネルギーが高く、照射時間を短くできるQスイッチのついたレーザーが用いられる.また、レーザー治療ではないが、フラッシュランプを光源にしたフィルターで、515〜1,200 nmと広域の波長の強い光(IPL)を照射するしみの治療もある.IPLは光老化皮膚の種々の症状(しわ、きめの乱れ、色素異常、毛穴の開大、血管拡張)に有効であることが報告されており、photorejuvenation(光による皮膚の若返り)と称されている.(舛田勇二)

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