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コウジ酸 [kojic acid]

化学名は5−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−4−ピロン(図).味噌、醤油、日本酒などの醸造に使用される麹かびによってつくられる培養発酵液中に含有され、これらの色や風味に重要な成分.“味噌、醤油、日本酒などの醸造工場で麹を扱う人の手は白くて美しい”との話が伝わっていたことから、各種微生物の生産物のスクリーニングが行われ、美白効果を有するコウジ酸が見出され、いまではメラニンの生成をおさえ、しみ・そばかすを防ぐという効果が承認された美白化粧品(医薬部外品)の有効成分となっている.チロシンからドーパへの水酸化反応と、ドーパからドーパキノンへの酸化反応を触媒しているチロシナーゼが、メラニン生成のキー酵素とされている.コウジ酸は古くから、各種金属イオンとのキレート作用(錯体をつくること)が知られており、阻害様式は非拮抗阻害である.チロシナーゼの活性中心である銅イオンをキレートすることでその活性を抑制・阻害する.メラニンの生成過程には5,6−ジヒドロキシインドール(DHI)および5,6−ジヒドロキシ−2−カルボン酸(DHICA)のような中間体が形成されるが、コウジ酸はこれら中間体がメラニン化へ向けて酸化重合する反応を阻害することも確認されている.(八木栄一郎)

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