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殺菌剤 [disinfectant]

抗微生物作用は、大きく分けて微生物の発育を阻害する静菌作用と、微生物を死滅させる殺菌作用の二つからなる.殺菌剤とは殺菌作用を有する薬剤のことをさし、そのうち消毒が目的のものを消毒剤(消毒アルコールなど)という.また、静菌作用をもつ薬剤を静菌剤といい、そのうち防腐を目的とするものは防腐剤または保存剤とよばれる.医薬品および化粧品は、できるだけ微生物を含まない製品をつくることが求められ、使用中に起こる微生物の混入、発育に対しては静菌剤を適正に使用することが重要になる.すなわち、静菌剤が用いられるのは、製品製造時の衛生上の不備を補うためではなく、二次汚染の防止が目的である.また、物理的滅菌処理のできない製剤について、殺菌剤が用いられる.これら両薬剤は、Escherichia coli、 Pseudomonas aeruginosa、 Bacillus subtilis、 Staphylococcus aureus、 Candida albicans、 Aspergillus nigerなどの菌に効力をもっている必要がある.殺菌剤の理想的な性質としては、①広範囲の温度、pHで広範囲の微生物に対してすみやかな殺菌活性がある、②用いるべき濃度で容易に水に溶ける、③広範囲の温度、pHで化学的、物理的に安定である、④処方のほかの成分と反応しない、⑤容器や栓に使われているプラスチック、ゴムなどの材質と反応しない、⑥不快な臭い、味あるいは色を呈しない、⑦使用濃度で毒性、変異原性(発がん性)あるいは刺激性がないことがあげられる.一般に化粧品に用いられる殺菌剤は安息香酸、デヒドロ酢酸などの有機酸類、フェニルエタノール、フェノキシイソプロピルアルコールなどのアルコール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類、クロルクレゾールなどのフェノール類、塩化ベンザルコニウム塩化ベンゼトニウムのような第四級アンモニウム塩、あるいはこれらに分類されないクロルヘキシジン、プロピレングリコールなどがある.(中西紀元)

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