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脂肪代謝 [fat metabolism]

体内で脂肪を分解して生命活動のために必要な物質の合成やエネルギーへと変化させること.脂肪は皮下結合織、腸間膜、筋肉間組織、内臓の周囲などの脂肪細胞内の油滴に、中性脂肪として蓄えられている.中性脂肪は脂肪細胞内のホルモン感受性リパーゼによって脂肪酸グリセリンに分解され、それぞれの代謝過程をとる.グリセリンはリン酸化され、さらに種々の酵素によって酸化されながら解糖系に入り、クレブス回路でさらに酸化されると、電子伝達系(呼吸鎖)によってATP(アデノシン三リン酸:エネルギー源)が産生される.一方で脂肪酸はおもに細胞のミトコンドリア内で、分子中の炭素原子が一つおきに酸化されるb酸化系によって分解される.このβ酸化の途中で生じるアセチルCoAはクレブス回路で酸化され、このb酸化が1回転すると合計で16分子のATPが生じる.脂肪代謝の第1ステップとなるホルモン感受性リパーゼは、カテコールアミンなどのホルモンによって活性化される.なお、脂肪酸代謝の過程では、電子伝達系で生じたプロトンのエネルギーをATP合成ではなく熱に変換させてしまう、脱共役タンパク質(UCP)の存在も知られている.(針谷毅)

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