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アレルギー性接触皮膚炎 [allergic contact dermatitis]

免疫応答に基づく遅延型アレルギー性の接触皮膚炎のこと.発症機序刺激性接触皮膚炎は刺激物に対する皮膚炎であるが、アレルギー性接触皮膚炎は、皮膚に接触した抗原や化学物質(ハプテン)が抗原提示細胞であるランゲルハンス細胞により認識されて起こるTリンパ球による遅延型アレルギー反応であり、化学物質などが作用した部位に紅斑などの皮膚反応が誘発される.樹状突起を広げたランゲルハンス細胞は外部から侵入したアレルギー物質を認識した後、表皮からリンパ節に移動し、その物質を特異的に認識するTリンパ球を増殖させる.ふたたびこの物質が表皮に侵入すると、わずかな量であってもランゲルハンス細胞から抗原特異的Tリンパ球に情報が伝達され、炎症性サイトカイン、ケモカインが放出され、紅斑、細胞浸潤、浮腫(むくみ)などの炎症反応が引き起こされる.アレルギー物質が表皮に侵入後1?3日に明らかな反応が認められることから、遅延型アレルギー反応ともよばれている.原因物質原因となる物質は、日用品、装飾品、植物などに含まれている.代表的な物質としては、クロム、ニッケル、コバルトなどの金属アレルゲン、ゴム製品加工に用いられる化学物質、漆に含まれるウルシオールなどである.皮膚反応通常、ハプテンが接触した皮膚に限局して湿疹反応が引き起こされる.典型的な反応では、ハプテンが表皮に侵入後約12時間でかゆみが感じられ、つづいて紅斑、浮腫が出現し、24〜72時間後に反応が強くなる.その後、炎症反応は消退し、10日程度で治癒するが、その程度は接触したハプテンの量、生体の遺伝的素因、角層のバリア機能の状態、感作状態などにより異なる.皮膚病理組織は、表皮の海綿状態、リンパ球の表皮内浸潤、真皮上層にリンパ球を主体とする浸潤と毛細血管拡張が認められる.検査診断には、皮膚症状の観察と所見をもとにしてパッチテストが行われる.パッチテストは、原因と推定される物質をパッチテスト絆創膏につけて48時間密閉貼付する.通常、絆創膏をはがし、約30分後、貼付72時間後と7日後の皮膚反応を判定し、原因物質を特定する.(市川秀之)

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