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ターンオーバー [turnover]
表皮や角層などで起こる細胞の生まれ変わりのこと.表皮において起こるものを表皮ターンオーバーという.その過程は、ケラチノサイト(表皮角化細胞)が基底層で増殖し、有棘層*、顆粒層と分化し、角層を構成し、やがて最外層で剥離していくというもので、健康な皮膚では一定のリズムで繰り返されている.また、角層にとくに焦点をあててその生まれ変わりを角層ターンオーバーという.表皮ターンオーバーには角層ターンオーバーが含まれる.部位や肌状態によっても異なるが、基底層で生まれた細胞が角層に至るまでに約4週間、角層にとどまって角層剥離するまでに約2週間、合計約6週間が表皮ターンオーバーの期間である.表皮ターンオーバーは、さまざまな要因によって速くなったり遅くなったりする.露光部(たとえば顔面)は非露光部に比較して速く、また、外部の刺激によって炎症を起こす場合にも速くなる.一方、加齢に伴ってケラチノサイトの増殖が悪くなり、表皮ターンオーバーも遅くなる.表皮ターンオーバー速度を正確にはかることは困難が伴うが、いくつかの方法が考案されている.たとえば、ダンシルクロリドのような蛍光試薬で角層タンパク質を標識し、経日的に角層に残る蛍光強度を測定することで、角層ターンオーバーに要する日数を算出する方法がある.また、角層最外層の角層細胞の大きさと表皮ターンオーバー速度との関連を応用して、角層細胞のサイズを測定して表皮ターンオーバー速度を推定することもできる(→角層細胞).(平尾哲二)