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肌荒れ防止剤 [remedying skin roughness agent、 skin care agent]

外界からの影響(乾燥、寒冷、紫外線、化学的・物理的刺激)、内部環境(疾病、精神状態)の影響を受けて発生する肌荒れを予防、改善する剤のこと.肌荒れの詳しい発生機序は不明だが、肌荒れが生じると、一般に角層の水分保持機能が低下し、ターンオーバーが乱れ、バリア機能が損なわれた結果、炎症を伴う状態が見られる.そのため、肌荒れ防止剤には、炎症や乾燥などの状態を改善し、失われた成分を補給する目的と、角層本来の働きを取り戻させる目的がある(表).両機能を兼ね備えた成分も多いが、前者の代表成分は、グリセリンアミノ酸などの保湿剤*、皮脂に代わる働きをする油分や抗炎症剤などで、とくに抗炎症剤のグリチルリチン酸誘導体、アラントインなどは医薬部外品の“肌荒れ、荒れ性”に対する有効成分(主剤)として用いられる.また、後者についてはビタミン類などがある.最近は、プロテアーゼが肌荒れに関連しているとの研究結果もあり、トラネキサム酸などのプロテアーゼ阻害剤も利用されている.
肌荒れ防止評価法(evaluation of prevention of skin roughness)
肌荒れの予防・改善を目的とした化粧品の効果を評価する試験法.さまざまな試験法が考案されているが、実験的に化学物質(刺激物質)の塗布などにより肌荒れを引き起こして、それに対して化粧品を外用塗布してその影響を調べる.肌荒れを引き起こすことに先立って、あるいは同時に化粧品を塗布することにより肌荒れ防止効果が、肌荒れを引き起こした後に化粧料を塗布することにより肌荒れ改善効果が調べられる.たとえば、界面活性剤の一種であるドデシル硫酸ナトリウムの水溶液を前腕に塗布すると、数日後に、鱗屑(→スケーリング)の発生、角層水分量の低下に特徴づけられる肌荒れが引き起こされる.このさい、保湿製剤を連日塗布すると、無塗布部位(対照部位)に比べて鱗屑(りんせつ)の発生が抑制され、角層水分量の上昇が認められる.これが肌荒れ防止効果を評価する過程である.さらに、実際の冬季における肌荒れに対して化粧料を連用(連続的に使用)させて、肌荒れの予防・改善効果を評価する場合もある.評価の指標としては、鱗屑発生の程度や炎症に伴う紅斑などをスコア化して行われることが多いが、客観的な評価として、さまざまな機器測定による評価も並行して行うことが重要である(→肌荒れ).(三部晶子、平尾哲二)

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