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ミルレジノイド [myrrh resinoid]

フウロソウ目カンラン科ミルラノキ属の樹皮よりにじみ出る樹脂から有機溶剤で抽出されるレジノイドのこと.ミルラノキ属は60種以上存在し、採取する種は明確ではないがCommiphora abyssinica Engler、 C.schimperi Englerなどであるといわている.おもな産地はアフリカの北東部にあるスーダン、エチオピア、ソマリアなど紅海沿岸地域で、高地の乾燥した土壌を好み幹は灰白色の皮で覆われている.ゴムの木と同様、樹皮に切り込みを入れ収率を上げたり、はぎ取った樹皮の下の樹脂をかき取ったりする.樹液ははじめ黄色だが空気に触れると赤褐色の固まりになる.これは旧約聖書にも記載されているもっとも古い香料の一つで、古代エジプト、ギリシャ、ローマでは宗教的な儀式や薫香*(くんこう)として用いられ、薬用としては軟膏や殺菌剤として利用された.防腐性、殺菌性が強いことからミイラをつくるのにも使用されていたとされ、ミイラの語源はミルラに由来するともいわれている.日本では没薬(もつやく)という名で知られている.香気は甘くスパイシーなバルサム調でやや苦味がある.香料としては、オリエンタル調に合わせたり保留剤として用いるほか、食品香料(フレーバー)として口腔剤、歯磨きなどのアクセントに用いられる.(木内さおり)

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