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a-ゲル [a-gel]

親水部に多量の水を保持した両親媒性分子の結晶のこと.一般にゲルは、コロイド溶液であるゾルが固化したもので、三次元の骨格中に分散媒が保持されたものである.α-ゲルもその定義の範疇(はんちゅう)に属するが、分子内に親水基親油基をもつ両親媒性分子がつくる特定の構造をもったゲルのことをさす.構造は親水部に多量の水が保持されている点でラメラ液晶と似ているが、液晶のように疎水鎖は液体ではない(図).二次元の結晶で、両親媒性の分子は二分子膜中で油脂のα-結晶と同様の六方晶(ヘキサゴナル)状の充填となっている.疎水鎖も回転の自由度をもっているものの、トランスジグザグ構造でまっすぐに伸びた状態にある.液晶がゲル-液晶転移点(疎水鎖の融点)以下に冷却されると生じる.通常、α-ゲルは準安定であり、いずれはコアゲル(固体結晶)と水の2相に分離する.近年、安定なα-ゲルの存在も確認されている.(鈴木敏幸)

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