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サンバーン [sunburn]

太陽光を浴びた後に生じる紅斑(肌の赤み)を伴う炎症現象で、紫外線紅班ともいう.一般に紫外線による紅斑は、主としてUVBにより引き起こされる一過性に皮膚が赤くなる現象で、紫外線暴露数時間後から観察され、24時間程度でピークとなり徐々に消失する.さらに多量の紫外線を浴びた場合は浮腫が起こり、やけどの状態になる.照射24時間後に肉眼で認められる紅斑反応を起こすのに必要な最小照射量をMEDとするが、紫外線に対する感受性が高いほど少ない紫外線量で紅斑を起こす、すなわちMEDが小さいということになる(→SPF).UVAは一般に紅斑を引き起こさないとされているが、UVA単独でも大量(UVBの約300〜1,000倍)に照射すれば皮膚に紅斑を生じる.しかし、太陽光暴露では実質的にほとんどUVBの影響に隠れてしまう.UVA紅斑は照射直後に現れ、照射終了時が一番強く、またUVAはUVBによる紅斑反応を増強するともいわれている.
メカニズム
紫外線の刺激を受けたケラチノサイト(表皮角化細胞)はインターロイキン(IL)-1、IL-6、TNF-αなどのサイトカインを産生し、これらの物質はつぎつぎに新しい炎症反応を引き起こし、血管を拡張させる.紫外線によって誘導されたこれらのサイトカインの間接的な影響や直接的な血管内皮細胞への影響により、紫外線照射数時間後には、好中球などの炎症性細胞の浸潤が始まり、炎症性サイトカインが放出され炎症が引き起こされる.この間に浸潤するCD4陽性T細胞が活性化されて炎症反応が増強され、その結果、ケラチノサイトのターンオーバーが促進される.回復期には単球、CD8陽性T細胞、抗炎症性サイトカインが放出される.つまり、UVB紅斑は紫外線暴露で傷害されたケラチノサイトを一連の炎症反応によって処理し、新たな細胞で皮膚を修復する作用をもつともいえる.(畑尾正人)

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