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ジェル [gel]

透明もしくは半透明で粘度の高い液体(ゼリー状)をさしてジェルという.化学用語としてはジェルよりもゲルとよぶほうが一般的である.狭義にゲルとは、コロイド次元(μmオーダー)の微粒子が分散している溶液をゾルといい、これが凝集してゼリー状になったものをゲルという.また、両親媒性物質の形成する液晶が結晶化する過程でゲルとよばれる不安定な状態をとる.液体をゼリー状にする物質として、高分子、両親媒性物質、微粒子粉体、ろう(ワックス)、その他各種増粘剤がある.水溶性高分子は微量で水、もしくはアルコール水溶液をジェル状にできる.デキストリンパルミチン酸エステル、ステアリン酸アルミニウムなどは油をゼリー状にする.両親媒性物質は水中で多量の水を含んだ液晶を形成し、高粘性のゼリー状液体となる.高濃度微粒子の分散液は、塩などを添加して、凝集状態とするとゲル状になる.このように多様な方法で高粘性状態、ジェルをつくることができる.そしてこのような状態を利用してつくられた多種類のゼリー状の製品を総称してジェル化粧品という.高分子を利用したジェル化粧品には、活性成分を配合した美容液化粧水、また整髪性も有する高分子を使用した整髪剤などがある.界面活性剤を高濃度に含み液晶により増粘したものに、ジェル状シャンプー、ジェル状洗顔料などがある.また、液晶は油分を多量に包含するため、これを利用した水性ポマードがある.界面活性剤、両親媒性物質が形成するゲルを利用したものにはクリーム類がある.多くの水中油(o/w)型クリームは外相に液晶、もしくはゲルが存在するためにクリーム状態となっている.たとえば陽イオン性界面活性剤、セタノールはある比率、濃度で液晶が形成され、粘度の高い水溶液となる.また、この液晶状態がゲルに変化するとクリームになる.この現象を利用したのがリンス、トリートメントである.(田端勇仁)

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